近代の商工地図
商工地図(明細図)とは
日本各地で主に商店や会社を案内するために、明治末期から戦後しばらくの間一枚ものの地図が描かれていました。この地図には、公共機関、社寺を始め商店、会社、銀行、映画館、著名人邸まで描かれています。縮尺が大きいことも特徴で、これらの地図類を一括して商工地図と呼んでいます。商工地図は、現在の住宅地図のはしりのようにも言われますが、描かれている商店や施設は、必ずしも網羅的ではなく、図幅におさまるようにかなり誇張して表現されています。多くは裏面が職業別一覧(広告)となっており、建物等の写真が掲載されていることもあります。現在では、主に郷土史、商業史、都市社会史、庶民文化史などの研究に使われています。 (日本地図センターHP・国会図書館リサーチナビの商工地図の説明より)

所蔵している商工地図
『大日本職業別明細図之内 福井県』木谷賀/著 東京交通社 1925
- 福井市・敦賀町・武生町・小浜町・三国町・高浜町の商工地図。裏面には学校や銀行など79の職種、のべ1000の索引があります。
- 内訳は、社寺名所が79、官庁学校が73、銀行会社が69、呉服関連が60、酒醤油味噌類が59とつづきます。
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『大日本職業別明細図 第623号』西村善汎∥著 東京交通社 1940
- 福井市・芦原温泉の商工地図。裏面には学校や銀行など106の職種、のべ517の索引があります。
- 内訳は、寺院が53と最も多く、ついで会社が44、官庁学校が42、機料が21、料理飲食店が20とつづきます。軍需関連の店もみえます。
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『大日本職業別明細図 第633号』西村善汎/著 東京交通社 1940
- 武生町(現越前市)の商工地図。裏面には、官庁、学校など25の職種、のべ401の索引があります。
- 内訳は、寺院が42と最も多く、ついで飲食店・料理が36、銀行会社が20、呉服小間物が16とつづきます。折箱店やスッポン問屋、養狸組合の名もみえます。
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『大日本職業別明細図 第643号』 西村善汎/著 東京交通社 1940
- 鯖江町(現鯖江市)と近隣町村の商工地図。裏面には学校や銀行など56の職種、のべ242の索引があります。
- 内訳は機業が33と最も多く、眼鏡関係18、官庁15、漆器12とつづきます。
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『最新番地入福井市街地図』 木下靖/編輯 福井新聞社 1933
- 昭和8年に行われた陸軍特別大演習を記念して配られた市街地図。商工地図ではありませんが、地図の周りに70余りの会社や事業所が紹介されています。なかでも織物に関わる事業所が目立ちます。
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【参考】大日本職業別明細図 第302号 木谷彰佑/著 東京交通社 1932 (当館未所蔵)
- 福井県(福井市・今立郡・敦賀郡・坂井郡・三方郡・丹生郡・南条郡・遠敷郡・足羽郡・吉田郡・大飯郡・大野郡)と京都府の一部の町村の商工地図。
こちらの資料は、国立国会図書館デジタルコレクション(送信サービス)でご覧いただけます。
東京交通社 編『大日本職業別明細図』,東京交通社,昭12.
国立国会図書館デジタルコレクション
https://dl.ndl.go.jp/pid/8311839/1/755
754コマ~759コマ
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