越前奇談怪談集(14)元覚堤の人柱

マット・マイヤー氏のイラストと現代語訳

画像:元覚堤の人柱
元覚堤 九頭竜川左岸の堤防で、江戸時代の初め、本多丹波守富正(法名元覚)が命じて築造されたものだとか。この辺りに、比丘尼塚という塚があり、それについての俗説がある。
 むかし、この元覚堤は、洪水になるごとに損壊した。そこで、とうとう旅人の尼を捕らえて、生きながらにして中に籠めて堤防を築いたところ、その後は崩れることはなかったという。

資料原本と翻刻文

原本画像を見る➤X0142-00298 「越前国名蹟考 巻之七 吉田郡」(山内秋郎家文書、当館蔵)57コマ

画像:元覚堤の人柱
元覚堤
此間九頭竜川の南縁の堤なり、国初、本多丹波守法名元覚、命をなして築かれしにや、此辺比丘尼塚と云所つか有、俗説あり、昔此堤出水毎ニ崩損ス、終ニ旅人ノ尼僧ヲ捕ヘ、生ナカラ築籠シカハ、其後崩ルヽコトナシト云