今月のアーカイブ Archive of the Month

実はこれ、文書館資料なんです。

酒札、肴預り札、善光寺の松葉、越前電気鉄道・三国芦原電鉄沿線案内
教科書に出てくるような古文書や文化財。そればかりが歴史資料ではありません。
文書館資料から、一見すると歴史資料とは思えないような資料をとり上げて紹介します。

会期

平成26年4月19日(土)~5月21日(水) 文書館閲覧室

1 植物

二十四輩参詣記念品 吉川充雄家文書 福井県文書館蔵
二十四輩参詣記念品
吉川充雄家文書(当館蔵)C0037-00550(013)・(016)・(002)
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(左)「御花松 善光様」
(中)「江戸麻布 善福寺 い長(銀杏)」
(右)「二又村 本誓寺様 蓮女(蓮如)上人 御ツへ ひちく竹」 
二十四輩とは浄土真宗の開祖である親鸞の直弟24人、およびそれぞれが開基した寺院のことです。四国八十八ケ所のように二十四輩の寺院を巡礼する旧跡めぐりもありました。
これは金津の紺屋又右衛門が1777年(安永6)に 二十四輩の旧跡をめぐった時の記録です。「御形身之品」として訪れた先の植物を集めていたようで、和紙に当時の木の実や枝、葉っぱなど26点が包まれています。
当時の陸上移動手段は、徒歩か馬のみ。旅行の満足度は現在と比べるとどうだったのでしょうか。

2 書類

「福井県宝くじ発行計画」 福井県文書館蔵福井県宝くじ発行計画
1946年(昭和21)9月 歴史的公文書61-1

第二次世界大戦からの復興を目的とした宝くじ「福井県復興宝籤」の発行計画です。
全国で初めての地方くじといわれ、「ふくふく籤」という愛称で売り出されました。

3 薬袋

藤野先生の薬袋 福井県文書館寄託
藤野先生の薬袋
藤野厳九郎家文書(当館寄託) C0125-00079
袋の中には新聞の「切手の顔」という連載企画の切り抜きがオーストリア・イタリア・ノルウェー・その他の4つの国別にわけて入れられています。
藤野先生の趣味でしょうか。それとも藤野先生が子どものためにとっておいたのでしょうか。

藤野厳九郎

藤野厳九郎(1874~1945)は坂井郡本荘村(現在のあわら市)出身の医師・教育者です。仙台医学専門学校で指導した学生のひとりが周樹人(魯迅)で、彼は仙台医学専門学校での経験を基に、後に魯迅として自伝的小説を書き、『藤野先生』という題名をつけています。

4 メール

1918年の福井市大火の際の往復書簡 福井県文書館蔵
(左)「(福井市大火を知り、葉書)」 1918年(大正7)5月17日
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(右)「(災火のがれ何より、葉書)」
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新聞で福井の火事を知った東京に住む弟が福井に住む兄の身を心配して送った葉書です。今では、メールや電話で行われるような災害時の安否確認ですが、葉書でやりとりされていました。

5 献立

献立 福井県文書館蔵
吉野屋文書(当館蔵) B0030-00959
折敷は参考資料(個人蔵)
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新聞で福井の火事を知った東京に住む弟が、福井に住む兄の身を心配して送った葉書です。

6 レシート

鉄瓶代領収書 福井県文書館蔵
「記(鉄瓶蓋代領収書)」 7月19日
松田三左衛門家文書(当館蔵) A0169-03275
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鉄瓶の蓋を購入した時の領収書です。現代では買い物をするとレジから出てくるレシートです。今も用紙に手書きで領収印を押すことはありますが、罫紙に毛筆書きはなかなかありません。

7 おえかき帳

「(絵手本、練習帳)」 福井県文書館蔵
「(絵手本・練習帳)」 年未詳
吉川充雄家文書(当館蔵) C0037-00813
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別の頁に「寛政一二」とあり、1800年頃に書かれたもののようです。
裏表紙には持ち主でしょうか「吉川亦太郎」と名前が書いてあります。真ん中のウサギは持ち主が左のウサギをまねて書いたようです。
「イロハニホヘトチリヌルヲハ」「天照大神宮」など文字を練習した跡も見えます。

8 時刻表

越前電気鉄道・三国芦原電鉄沿線案内  福井県文書館寄託
越前電気鉄道・三国芦原電鉄沿線案内 年未詳
坪田仁兵衛家文書(当館寄託) C0005-01859
戦前の地方鉄道の時刻表と沿線案内です。越前鉄道の新福井・市荒川間は北陸地方初の電気鉄道として100年前、1914年(大正3)2月11日に開通しました。
いっぽう、三国芦原電鉄福井口・芦原間は1924年(大正13)12月30日に開業しています。

9 カレンダー

「けうくん(教訓、暦、絵入り)(木版)」 福井県文書館蔵
「けうくん(教訓、暦、絵入り)(木版)」1816年(文化13)
松田三左衛門家文書(当館蔵) A0169-00878
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江戸時代の日本の暦は太陰太陽暦に則っていました。それが明治維新後の1872年(明治5)12月3日に太陽暦に改められ、この日を1873年(明治6)1月1日としました。
太陽太陰暦がいわゆる旧暦、太陽暦が新暦です。古代、飛鳥時代に百済(朝鮮半島南西部)を通じてから伝えられたとされる暦は長く朝廷によって管理されていました。
江戸時代になっても販売には幕府の許可が必要でしたが、普及するにしたがって多様化していきました。
本資料は一年の暦からとくに生活に関わる暦日を抜き書きした略暦のひとつです。上段に大月小月(月の日数、大月が30日・小月が29日)の別と朔日の干支、下段に暦日や吉凶の暦注、そして閏月を入れた月の数と同じ13の教訓が記されています。

10 お金

福井藩札(20匁[麒麟]、10匁[馬]) 福井県文書館蔵
藩札 年未詳
松田三左衛門家文書(当館蔵) A0169-01862
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藩札とは江戸時代、幕府が発行していた金・銀・銭貨とは別に諸藩が発行していた紙幣のことです。
1661年(寛永元)の福井藩札の発行は福山藩に次ぐ早い時期のものでした。
幕府貨幣の流通を妨げるとして一時は幕府によって禁止されましたが、通貨不足に陥ったため解禁され、結果、藩札を発行していた藩は三百諸侯といわれた諸藩のうち約250にも上りました。

11 商品券

御酒札御酒札御酒札
御酒札御酒札
土屋豊孝家文書(当館寄託) C0044-00901
これらは金津・丸岡・江留などの酒屋がそれぞれに発行していた「酒札」、商品券です。

魚券

御肴券・肴預り札 福井県文書館蔵
御肴券(右)・肴預り札(左)
(右)明治期(1868~1912) 小川利三郎家文書(当館蔵)E0123-00021
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(左)年未詳 土屋豊孝家文書(当館寄託)C0044-00901
右は武生町蓬莱(越前市蓬莱町)で海産物を商っていた小川商店の商品券です。裏面に金額の記入欄があり、この券を小川商店に持っていけば、金額分の好きな商品と交換できたようです。
同様に左の肴預り札も金津の「絹久」で2匁分の魚と交換できたと考えられます。

12 広告

「善導大師大遠忌」 福井県文書館蔵
「善導大師大遠忌」 年未詳
勝見宗左衛門家文書(当館蔵) B0037-00624
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現在も永平寺町松岡にある安泰寺で営まれた善導大師大遠忌の案内です。手書き・手塗りの部分もありますが、引札という資料で現在の広告にあたります。
善導(613~681)は隋・唐代の中国の僧で、法然が日本で浄土宗を開くきっかけを作った人物です。

13 パンフレット

『FUKUI CULTURAL ASSETS』  福井県文書館蔵
『FUKUI CULTURAL ASSETS』
1987年(昭和62) 歴史的公文書 316060-00006
1986年(昭和61)に県民会館内に開設された国際文化交流センターの福井県案内パンフレットです。
県内の名所・旧跡など文化的資産が写真とともに英文で紹介されています。パンフレットのカバーデザインには、小浜市妙楽寺の千手観音像が使われています。

14 ゆるきゃら

恐竜エキスポふくい2000マスコットキャラクター「フクリュウ」 福井県文書館蔵
恐竜エキスポふくい2000マスコットキャラクター 「フクリュウ」
フクリュウのモデルは勝山市北谷で発掘され、日本で初めて全身骨格が復元された肉食恐竜「フクイラプトル」です。
エキスポの顔としてエキスポを宣伝・案内するという大役を務めました。フッキーというガールフレンドもいるようです。
後ろからひかえめに覗いているのはラプト君(福井県恐竜ブランドキャラクター「Juratic」)。

ポスター

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開館時間

開館時間  9:00~17:00
休館日   月曜日(祝日の場合は翌日)
      第4木曜日