今月のアーカイブ Archive of the Month

「百年の残された新聞」

官板バタビヤ新聞官板海外新聞
『官板バタビヤ新聞』『官板海外新聞』
「松平文庫」 福井県立図書館保管
テレビもインターネットもなかった時代。人々は自分が知りたい情報の多くを新聞から得ていました。
今に残されている新聞からは当時の人々のくらしや 社会の変化が読みとれるのみならず、時にはそれらを残した人々がどんなことに関心をもっていたのかがわかります。
幕末の海外事情や開港地横浜のようす、めまぐるしい明治維新の改革、 日清・日露の戦況など、百年にわたり残されてきた新聞資料を、それらが集め残された背景をふまえて紹介します。
福井藩の藩政資料である松平文庫には、ペリー来航以降に出版された初期の新聞とその写しや抜粋が数多く残されています。
幕府の洋書調所で翻訳され「官板」として刊行された新聞、開港地横浜で外国人によって出された『万国新聞紙』『横浜新報もしほ草』などのニュース性の高い新聞、維新の混乱の中で江戸や京都・大阪で刊行された新聞も含まれています。
これらは、福井藩の国内外への情報収集の成果でもありました。

会期

平成22年7月23日(金)~8月25日(木) 文書館閲覧室  

『官板バタビヤ新聞』『官板海外新聞』

官板バアビヤ新聞官板海外新聞
1862年(文久2) 松平文庫 福井県立図書館保管
『官板バタビヤ新聞』は開国以降オランダ風説書に代わって幕府に献上された「バタビア新聞紙」を、 幕府の翻訳業務を担当した洋書調所で翻訳した新聞です。語句の注釈に加えて「春嶽批閲」の朱書が見られ、松平慶永も内容に関心を抱いていたことがわかります。また、時代を反映して、アメリカ南北戦争のようすや坂下門外の変に関する記事も見られます。
『官板海外新聞』はその続編にあたるもので原書や体裁も同一のものです。

『横浜新報 もしほ草』

横浜新報もしほ草 第1篇 表紙もしほ草 18篇「神戸よりきたりしはんじもの」
1868年(慶応4) 松平文庫 福井県立図書館保管 A0143
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ウェンリードこと米国人ヴァンリードが岸田吟香(ぎんこう、「麗子像」で知られる岸田劉生の父)と共同で 横浜の居留地から発行した新聞です。題号の右側に岸田を表すGinji Kicidaの朱印が押されています。
当初、治外法権の居留地では政府の許可を得ていない新聞の発行は放置されましたが69年3月の新聞紙条例では規制の対象となったため、「官許」を得ていました。

『撮要新聞』

撮要新聞 第3号(表紙) 明治5年9月撮要新聞 第3号
1872~73年(明治5~6) 福井県立図書館蔵
1872年(明治5)年8月に発刊された福井県で初めての新聞です。
元福井藩士で足羽県権大属・学校掛 富田厚積が編集したもので、県内外、国外の記事を広く取り上げていますが、廃仏毀釈の風潮を受けて、「固陋ノ旧習」として仏教を非難する記事が多くみられます。
撮要新聞には足羽県活版局による活版印刷の部分と木版部分とがあります。

『福井』

新聞『福井』
1894年(明治27)8月~96年(明治29)8月
福井県立歴史博物館蔵
福井県内で刊行された新聞は明治10年代なかばから 20年代なかばまでは比較的よく残っていますが、 これ以降40年代に入るまで残念ながらごく断片的にしか残っていません。
その中でこの『福井』は、あわら市の旧家に伝えられたもので、 日清戦争の開戦まもない8月5日から約2年間にわたって、ほとんど毎号が連続して残存しています(のちに『福井新報』と改題、95年6月~10月欠)。
当時県下では『若越自由新聞』に次いで発行部数の多い新聞であり、ともに日清戦争をきっかけに発行部数を爆発的に伸ばしました(『福井県史』資料編17統計)。

『日清戦争絵報』

『日清戦争絵報』
1894年(明治27)8月8日
勝見宗左衛門家文書(当館蔵)B0037-00630
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894年(明治27)7月から始まった日清戦争を主題とした新聞です。
他紙も号外を出すなどして戦況を報じましたが、この新聞はカラーの挿絵と平易な表現で女性・子どもにも読みやすいこと、他紙よりも情報をいち早く掲載できることを売りにしています。

新聞切り抜き(『時事新報』ほか)

新聞の切り抜き
飯田広助家文書(当館寄託)G0024(整理中)
当館所蔵の新聞資料の中には、完全な状態ではなく、切り抜かれたものも数多くあります。
例えば、池田町の旧家に伝わる明治から昭和(戦前)の新聞のうち、明治時代の切り抜きのほとんどが日露戦争に関係したものです。戦場となった遼東半島の地図や軍艦のイラスト、戦況を伝える記事からは、日露の戦況に強い関心をもっていたことをうかがえます。

明治の夏~百年前の新聞記事から~

福井中学校の終業式
1907年(明治40)7月25日
氷発売広告
1890年(明治23)6月25日
ラムネ製造所
1894年(明治27)7月24日
蚊取り線香の広告
1907年(明治40)7月25日
海水浴場広告
海水浴場広告
1899年(明治32)6月17日

ポスター

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