今月のアーカイブ Archive of the Month

誠ニ古今珍敷」-小浜町人がみた幕末ふくい-

3冊の「書留日記」 小浜市立図書館蔵(団家旧蔵) 
このほど当館で刊行した資料集『若狭国小浜町人の珍事等書留日記』(資料叢書第3巻)では、幕末から明治維新にむかう激動の時代に小浜町人が記した書留日記を取り上げました。
今月の収蔵資料展示では、この日記から浮かびあがる幕末ふくいを紹介しました。
今回活字化したのは、中央の「書留日記」と右の「書留日記」の当所出火部分です。

会期

平成21年3月27日(金)~4月22日(水) 文書館閲覧室
平成21年6月20日(土)~7月5日(日) 若狭図書学習センター

書いたのは誰?

「書留日記」の筆者は誰?(これはイメージです)
翻刻文天保4年打毀しに遭った町人
この『書留日記』には表紙に「大北氏」とあり、文中に「手前」「親勘左衛門」とでてきますが、書いた人物がわかりませんでした。
読みすすめていく中で、いくつかの事件についての記述から、著者がわかってきました。右の部分は天保4年(1833)に打毀しに遭った町人10名への藩の処分を記しています。この10名についてはすでに『小浜市史』通史編上巻等で知られていますので、「手前」は、「井筒屋勘右衛門」であることがわかります。
井筒屋は小浜藩の米手形役所の御用達を務めた有力町人のひとりでした。米手形役所では米手形(藩札)と銀との両替を独占的に取り扱っていました。  
鶴札鶴札
小浜藩の米手形(藩札、鶴札20匁)
桜井市兵衛家文書(当館蔵)

珍事ってどんなこと?

「明治四年小浜町絵図」 小浜市立図書館蔵
「明治四年小浜町絵図」
小浜市立図書館蔵
この『書留日記』には小浜城下での天保の大飢饉のようす、 幕府や藩からの御触書(法令)、藩の財政改革にかかわる「仕法」(方策)など、有力町人が知りえた情報が的確に記されています。ほかにも洪水や地震・伝染病の流行、祭りや催し物などの「珍事」(珍しいできごと)が丹念に書きとめられています。
「珍敷」「前代未聞」「稀成」などと記されていることは多種多様ですが、 展示では文化9年(1812)の3メートルを越す大雪、嘉永6年(1853)の大火、 慶応3年(1867)のイギリス軍艦の入港等を紹介しています。

祭りとイベント

「熊野」 『(大宝小謡諸祝言)』から
『(大宝小謡諸祝言)』
吉川充雄門家文書(当館蔵) C0037-00684
デジタルアーカイブはこちら
この『書留日記』には、小浜の町人が担っていた祭りやさまざまな興行(イベント)もゆたかに描かれています。
神社の祭りや寺の開帳、その際に行われた能や狂言、浄瑠璃、相撲や貝細工、 力持ちや曲持ち、曲駒廻しなど見世物が取りあげられています。
そこには、京都・大坂から呼び寄せた興行も多くみられ、またその当たり外れも記されていることが注目されます。
能「熊野」は 安政5年(1858)4月18日、八幡宮千百年神事の際の番組のひとつでした。

ポスター

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開館時間

開館時間  9:00~17:00
休館日   月曜日(祝日の場合は翌日)
      第4木曜日