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城下の空を見上げてみれば

橘家文書(県立博物館所蔵、福井県指定文化財)は、福井城下の木田に所在した薬商人・医者の橘家に伝来した文書群です。橘家文書には、江戸時代中期の橘家の当主橘宗賢が作成した記録があり、記録中には当時の福井城下から観察した天文現象についての記述が含まれています。
県民衛星関連展示として位置づける今回の文書館ミニ展示は、江戸時代の福井の天文現象をテーマとし、1743(寛保3)年に11月に観察された彗星、1770(明和7)年7月に観察された火球とオーロラの記録を紹介します。

会期

2021年2月25日(金)~2021年3月24日(水)※終了しました

会場

福井県文書館閲覧室

1742年の彗星と「上弦星」

「橘宗賢年中日録」

「橘宗賢年中日録」
橘家文書(福井県立歴史博物館所蔵)

1742年(寛保2)に城下から観察された彗星と「上弦星」の記録です。
竹箒状の彗星の出現をめぐり、幕府がこれを吉事と知らせる一方、西方の「上弦星」の出現も合わせてこれをどのように考えるか、評価はさまざまであったと記しています。

1770年の赤いオーロラ

「橘宗賢伝来年中日録」

「橘宗賢伝来年中日録」
橘家文書(福井県立歴史博物館所蔵)

1770年(明和7)に城下から観察された赤いオーロラ(「紅気」)の記述です。
7月28日から北の空の一部が赤くなりはじめ、それが変化しつつ広がっていったことが窺えます。その様子を筆者の橘宗賢は、「甚だ奇怪なり」と評しています。

描かれたオーロラと観察記録

「橘宗賢伝来年中日録」「橘宗賢伝来年中日録」

「橘宗賢伝来年中日録」
橘家文書(福井県立歴史博物館所蔵)

赤いオーロラの図とともに、その観察記録を書いた付紙です。北の空が赤くなったので加賀・大聖寺方面での火災かと思われたものの、その後「紅気」に「青白ノ気条」が現れたこと、徐々に色と形を変えたようすなどを詳細に観察し、ことばで表現しています。

城下の人びとが見たもの

「橘宗賢伝来年中日録」

「橘宗賢伝来年中日録」
橘家文書(福井県立歴史博物館所蔵)

1770年(明和7)7月18日に橘家父子がみた流星の図です。酉の刻過ぎに西から東へ流れ、木田淡原町の上あたりで離散して消えたと記録されており火球と推定されます。
記録に「諸人見ル者多シ」とあることから、流星は城下の話題になったかもしれません。

福井県文書館

〒918-8113
福井県福井市下馬町51-11

TEL.0776-33-8890
FAX.0776-33-8891
Mail.bunshokan(at)pref.fukui.lg.jp

開館時間

開館時間:9:00~17:00

休館日:月曜日(祝日の場合は翌日)、第4木曜日