松平文庫テーマ展

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職員録だって歴史資料なのです

今回の展示で紹介する職員録は、国または福井県に属する職員の名簿として作成または刊行されたものであり、明治初期には「官員録」と呼ばれていたものもあります。
こうした職員録は、通常、新しいものが発行されると古いものは捨てられてしまう運命にありますが、これらを長いスパンで捉えた場合、その組織の規模や構造がどのように変遷したのか、どのような人物がどのような業務を担当していたのかを遡って知ることができる貴重な歴史資料となります。
本展示では、明治以降に作成、発行された国や県(藩)の職員録などを紹介し、そこからわかる福井県の歴史や時代背景、登場する人物の軌跡などを紹介します。

会期

2021年2月25日(金)~2021年4月11日(日) ※終了しました

会場

福井県文書館閲覧室

福井藩の職員録

福井藩職員録福井藩職員録福井藩職員録

明治2年「福井藩職員録」
松平文庫(当館保管)

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廃藩置県の前、明治2年(1869)に作成された、福井藩の職員録です。
札の一枚ごとに一人の職員が書かれており、人事異動があればそれを剥がして別のところに貼り付けていました。
福井藩士であった人物がほぼそのまま職員として名を連ねています。 明治新政府で参与を務めた毛受洪(めんじゅひろし)や、後に足羽県の参事となる村田巳三郎(みさぶろう、氏寿(うじひさ))の名前も見えます。

わずか2年…「足羽県」の職員録

「足羽県官員付」

明治4~6年頃「足羽県官員付」
松平文庫(当館保管)

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足羽県は明治4年(1871)から2年間だけ存在した、現在の嶺北北部と奥越地方を区域として存在した県です。
「令」と「権令」は空席となっており、「参事」の旧福井藩士の村田氏寿がその代役を務めていました。

敦賀に県庁があったころの職員録

「敦賀県官員録」

明治6年10月10日改 「敦賀県官員録」
福井県立歴史博物館蔵

「敦賀県官員録」

明治7年12月5日改「敦賀県官員録」
加藤竹雄家文書(当館蔵)

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明治6年(1873)、同7年に作成された敦賀県の職員録です。 敦賀県は明治4(1871)年、嶺北南部と嶺南を区域として発足した後、同6年に足羽県を編入し、現在の福井県とほぼ同じ区域となりました。

明治の要人も登場 国の官員録

「官員録 全」

明治8年「官員録 全」
矢尾真雄家文書(当館蔵)

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国が明治8年(1875)に活版印刷により発行したもので、国だけでなく各府県の職員についても記載されています。
同年2月にあった大阪会議(大久保、木戸、板垣の三者会談)後の、明治政府の人事が網羅された貴重な資料です。
福井に関係する要人も多数記されており、「由利公正」の名前もあります。
また、府県を記載した頁を見ると「石高」が記されています。 石高制は地租改正(明治4)により消滅したとも言われますが、職員録では県の大きさを表す指標として、明治14年(1881)1月まで使用されていました。

福井県ヲ置キ越前若狭両国一円管轄セシメ

明治14年2月7日付太政官布告

明治14年2月7日付太政官布告
福井県立歴史博物館蔵

明治14年(1881)2月7日付で太政大臣三条実美によって発せられた布告です。越前と若狭を管轄とした福井県を新たに置くとした内容です。
また、県庁の位置は、越前国足羽郡福井とするとしています。

これが最初の福井県職員録

「福井県職員録」<

明治14年「福井県職員録」
福井県立図書館蔵(坪川家旧蔵)

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明治14年(1881)2月7日に福井県が誕生して後に初めて作られた福井県職員録です。
この頃は、氏名に「出身県」と「族称(士族や平民など)」を併記して記載するのが一般的でした。

置県一周年を喜ぶ春嶽

明治15年(1882)2月7日春嶽書簡

明治15年(1882)2月7日春嶽書簡
当館蔵

松平春嶽(慶永)が、置県一周年の記念日に寄せた書簡です。
「越前の旧藩士や民衆にとってこの上ない幸福を太政官から授かった大祝日であり、慶永はこの祝日を死んでも忘れない」とその喜びを表しています。

昭和初期の職員録

「福井県職員録」

昭和16年「福井県職員録」
当館蔵

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太平洋戦争が始まる直前、昭和16年(1941)8月に作成された職員録です。組織の規模が大きくなり、職員録の厚みが増しています。
「満州開拓民訓練所」など、当時の社会情勢を反映した組織も見られます。

題字は知事の特権!?

「福井県職員録」

昭和40年「福井県職員録」
当館蔵

この職員録の題字は、当時の北栄造知事のものです。
職員録の題字を知事が書くという慣例は、昭和38年(1963)の北知事に始まり、平成30年(2018)まで4代の知事に渡って続きました。

福井県文書館

〒918-8113
福井県福井市下馬町51-11

TEL.0776-33-8890
FAX.0776-33-8891
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開館時間

開館時間:9:00~17:00

休館日:月曜日(祝日の場合は翌日)、第4木曜日