江戸時代には儒学を背景にして「忠孝」「貞節」などの徳目が重視され、それらの実践者は、武士・庶民にかかわらず「孝行奇特人」などと呼ばれ、褒賞を受けました。
松平文庫資料には、孝行奇特人として褒賞を受けた人びとを幕府に報告するために福井藩が作成した、彼らの伝文(伝記)を集成した資料があります。
本展示では、松平文庫の孝行奇特人関係資料を展示し、その内容と伝文作成の過程の一部を紹介します。
2020年10月23日(金)~12月23日(水) ※終了しました
福井県文書館閲覧室
「孝子円右衛門伝」
T0001-00079 福井県立図書館貴重資料
デジタルアーカイブはこちら
福井藩の儒学者前田潤(雲洞)が1789(寛政元)年に著した和田中村円右衛門の伝記です。
孝子・円右衛門の母への孝行の内容や、藩主による褒賞に至る経緯などが漢文体で書かれています。
享和元年「官刻 孝義録」巻二十七
松平文庫(当館保管)
福井藩などの越前諸藩から寛政年間に報告された、孝行奇特人81名の名前と8名の伝文を和文で収載しています。
足羽郡和田中村の円右衛門の名前には、伝文を収載していることを示す〇印が付されています。
文化6年「越前国孝行奇特人行状書」(草稿)
松平文庫(当館保管)
福井藩領の各地から報告された孝行奇特人の選考状況を示す資料です。
足羽郡花堂村百姓善四郎の伝文は、抹消線が示すように選ばれなかった一方、今立郡清水頭村の下女「野江(のえ)」の伝文は選ばれています。
文化6年「越前国孝行奇特人行状書」(雛形)
松平文庫(当館保管)
福井藩が幕府に孝行奇特人を報告するための報告書のひな形です。
このひな形には、家老からの「指図」を記した付紙が挟み込まれており、指図を受け、以後、褒美を具体的に記すようになったことが別資料からわかります。
文化6年「越前国孝行奇特人行状書」(控)
松平文庫(当館保管)
福井藩領の孝行奇特人204名の伝文を、福井藩が1809(文化6)年にまとめたものです。
選ばれた人物の伝文のみ収載され、褒賞が具体的に添書きされており、幕府に提出した正本の控と判断できます。
文化8年「越前国孝子奇特人行状書」(控)
松平文庫(当館保管)
南条郡板取村の寺田三郎左衛門は、一旦は奇特者の「百姓」として文化8年に福井藩を通じ幕府に報告されました。
しかし苗字帯刀を許され扶持を受けているとして「百姓」表記が問題となり、表記抹消の上、伝文が修正されました。
〒918-8113
福井県福井市下馬町51-11
TEL.0776-33-8890
FAX.0776-33-8891
Mail.bunshokan(at)pref.fukui.lg.jp
開館時間 9:00~17:00
休館日 月曜日(祝日の場合は翌日)
第4木曜日