「松平文庫にみる描かれた世界遺産」―「百舌鳥・古市古墳群」登録記念―
2019年(令和元)7月6日、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の第43回世界遺産委員会において、「百舌鳥・古市古墳群」が世界文化遺産に登録されました。
これを記念して、松平文庫のなかから国内の世界遺産を描いた資料(主に江戸時代の資料)を展示します。
会期
2019年7月12日(金)~9月8日(日)※終了しました
古都奈良の文化財
『年中行事大成』巻二
文化3年(1806)刊
京の浮世絵師・速水春暁斎による「南都二月堂 水取の図」。お水取りとは、東大寺二月堂で行われた修二会のこと。
古都京都の文化財
『東山名勝図会』巻二
文久2年(1862)刊
四方春翠「東山慈照寺」は、錦鏡池や向月台など庭園を中央に、銀閣を左手に描く。上部に頼山陽の漢詩が添えられる。
古都京都の文化財
『宇治川両岸一覧』坤
万延元年(1860)刊
松川半山画「平等院」。鳳凰堂屋根に一万円札裏に描かれる鳳凰も。上島鬼貫の句「冬枯や平等院の庭の面」が添えられる。
厳島神社
『源平盛衰記図会』巻一
文化3年(1806)刊
承安4年(1174)3月、後白河法皇とその女御・建春門院の厳島行幸を描く。平清盛が用意した宋船を用いたと伝わる。
日光の社寺
『日光山名跡誌』
享保13年(1728)序、天保11年(1840)改版
日光で出版された日光案内書。徳川家康を祀る東照宮、それに続く陽明門が描かれる。画は俳人として名高い菊岡沾凉。
紀伊山地の霊場と参詣道
「紀州高野山御石塔記録」
天保13年(1842)筆
空海入定の地・金剛峯寺奥の院には福井藩歴代藩主の霊屋が並び、藩祖結城秀康のものは重要文化財に指定されている。
富士山-信仰の対象と芸術の源泉-
『東海道名所図会』巻五
寛政9年(1797)刊
原在正描く「吉原駅望芙蓉景」。
北斎「富嶽三十六景」の「凱風快晴(赤富士)」に影響を与えたという。
芙蓉は富士の雅称。
富士山-信仰の対象と芸術の源泉-
『東海道分間絵図』
刊年不明
芸術の題材となった「三保松原」もあわせて世界遺産に。宿場ごとに貼られた紙片の人名は本陣(大名の宿所)を表す。
百舌鳥・古市古墳群
『首註陵墓一隅抄』
嘉永7年(1854)、明治元年(1868)再刊
幕末の尊王思想の高まりを受けて執筆された山陵研究書。陵墓をどの天皇の古墳とするかを比較考察して定めている。
百舌鳥・古市古墳群
『聖蹟図志』
嘉永7年(1854)、明治元年(1868)再刊
『陵墓一隅抄』の付図。中陵(仁徳天皇陵古墳)は「大仙陵」と記載。樹木が繁茂する現在とは異なる描かれ方をしている。