漢字のいろは!? -『千字文』で学ぶ-
年未詳 『千字文一』
吉野屋文書(当館蔵) B0030-01318
県立図書館「白川文字学の室」リニューアルオープンにあわせた江戸時代の漢字学習に関する展示です。
寺子屋で使われた漢字の教材などを紹介します。
会期
平成28年10月21日(金)~ 11月3日(木) 福井県文書館閲覧室
『古事記』に書かれた『千字文』伝来
1803年(享和3)『訂正古訓古事記』
松平文庫(福井県立図書館保管) A0143 M210-27
『古事記』には百済の和邇吉師が応神天皇の時代の日本へ『千字文』と『論語』十篇を伝えたという記述があります。
応神天皇の時代は『千字文』が成立する前であり矛盾がありますが、逆に言えば日本でも奈良時代には『千字文』が広く普及していたことを示しています。
『千字文』いろいろ その1
1756年(宝暦6)『画引十体千字文綱目』
吉川充雄家文書(当館蔵) C0037-00608
デジタルアーカイブは
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『千字文』は中国で作られた漢字の教科書で、日本に伝来されてからさまざまな注釈書や写本が作られました。
『画引十体千字文綱目』はそれぞれの漢字について、楷書、篆書、隷書などのさまざまな字体が書かれており、画引きもできます。
『千字文』いろいろ その2
1799年(寛政11)『寺子読書千字文』
野尻喜平治家文書(当館蔵) I0076-01230
『寺子読書千字文』には『千字文』の本文が楷書と行書の二体で記されています。
また「千字文由来」、「筆、墨、紙、硯説」、「和漢文字の始」などの付録記事も掲載されており、漢字習得のために押さえておくべきことが学べます。
『小野篁歌字尽』
1677年(延宝5)『小野篁歌字尽』
桜井市兵衛家文書(当館蔵) N0055-00967
『小野篁歌字尽』は漢字を正確に手習わせ、覚えこませるのをねらいとしながら、これまでにない独自の工夫を施し、おびただしい実績をあげました。
部首の同じ漢字を並べ、覚えやすく歌にしてあり、冒頭の「椿・榎・楸・柊・桐」の文字は「春つばき、夏はえのきに、秋ひさぎ、冬はひいらぎ、同じくはきり」などと読み書きが苦手な人でも楽しみながら学べるように工夫してあります。
書名は『小野篁歌字尽』でいかにも小野篁が作者のようですが、篁の名は借り物で実は作者は不詳です。
平安時代、漢文・漢詩の誉れが高かった篁の人気と知名度を拝借して『歌字尽』に箔をつけたようです。
展示室およびパネル展示
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