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会期

平成26年4月25日(金)~5月21日(水) 福井県文書館閲覧室

新発見!橘曙覧歌集

わらや社中歌集 5点 加藤竹雄家文書
このほど、当館に寄贈予定の資料の中に、独楽吟で知られる幕末福井の歌人橘曙覧(1812-68年)が編集・刊行した歌集5点が発見されました。
橘曙覧は越前福井城下の石場町(福井市つくも1丁目)に生まれた歌人で、「たのしみは」ではじまる和歌「独楽吟」をよんだことで有名です。曙覧は古典を研究して日本文化を明らかにしようとする国学者でもありました。
正岡子規は「源実朝以後、歌人の名に値するものは、橘曙覧ただ一人」と称賛しており、明治期の歌壇に大きな影響を与えた歌人の一人です。
これまで曙覧の没後に出版された『志濃夫廼舎歌集』(1878年)が曙覧の歌が収録された最初の歌集とされてきましたが、今回発見された歌集5点はいずれも生前に刊行されたものです。
曙覧の40代前半に編まれたこれらの歌集から「わらや」の名称で曙覧が社中を主宰していたことも初めて確認できました。
ここでの社中は曙覧を中心に歌を学ぶ仲間のことです。
5冊の歌集には福井藩士や商人・庄屋層などのべ約110名をこえる人びとが、福井城下のみならず、府中・鯖江・勝山などからも歌を寄せています。

歌集5点目録

(1) 1852(嘉永5)年 『嘉永壬子月次初会之哥』
(2) 1853(嘉永6)年 『嘉永癸丑(みずのとうし)月次初会之歌』
(3) 1854(嘉永7)年 『嘉永甲寅(きのえとら)月並初会歌』
(4) 1856(安政3)年 『若くさ』
(5) 1857(安政4)年 『若くさ』
加藤竹雄家文書(当館蔵) A0052-01561~01565
(橘曙覧関連歌集)
歌集の冒頭 1852年
(橘曙覧関連歌集)
歌集の末尾 1853年(左)

歌集の持ち主 加藤理右衛門

加藤理右衛門肖像画 加藤竹雄家蔵
わらや社中の歌集5点は吉田郡二日市村(現福井市)の加藤竹雄家に伝わったもので、当時の当主加藤理右衛門(1817-1885年、号祐之)が所持していたと考えられます。 二日市村は日野川との合流点に近い九頭竜川右岸にあり、江戸時代を通して福井藩領でした。
江戸後期、加藤家は府中本多家が直接支配した村々(府中領)の大庄屋格の待遇をうけていました。
従来から理右衛門が曙覧に師事して いたことは知られており、『橘曙覧全歌集』(岩波文庫)にも曙覧がはじめて加藤家を訪れた際に読んだ歌2首が収載されています。
また、理右衛門が書いた日記「安政四丁巳年日録」(1857年)にも、曙覧(正玄五三郎)のもとを訪問した際のことが記されています。
この日記の曙覧関連の記述は以下をご覧ください。

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