9 村の世界(1)
 太閤検地によって村の石高とその範囲が確定されました。その結果、村は年貢・諸役を負担する基本単位となり、庄屋などの村役人を中心として寄合でいろいろ協議確認され、自治的に運営されることになりました。

 村は周囲に肥料や秣・薪などを手に入れる山や野(多くは入会地)を守り、田地耕作のための用水の確保に力をそそぎました。重い年貢を納めなければなりませんから、百姓どうしの間に不公平や争いがあってもいけません。そこで村独自の掟(村法)を設け、生産活動や日常の生活がスム−ズに行われるよう努めました。村掟の多くは人足役などの負担のしかたや、入会地の利用法、用水の維持、それに村や地域の経費(村盛・郷盛)の負担に関するものです。寄合への参加や窃盗・火災防止に関するものなども少なくありません。村掟に違反すると厳しい制裁が加えられました。火事と葬式のときしか付き合ったり協力しないという、村八分はその例です。

 竜神絵馬
 ▲竜神絵馬
 1819年(文政2)大野郡岩屋村が岩屋観音堂に奉納したものである。裏書に、日照りが続い
 たため村で7昼夜祈願したところ、大願成就したのでこの絵馬を奉納するとあり、村方三役
 の名前が記されている。                        勝山市 岩屋観音奉賛会蔵
【絵馬裏書】
      狩野音信孫
 奉納
      藤原英方(花押)
  
 今般有立願而、昼夜山
 篭之処、為大願悉皆
 令満足、仍而降雨黒
 白龍謹而画者也、
   維時文政弐己卯稔
    菊月十漆星舎
       東陌隠士
        纂甲
         敬白
  奉寄附 額板並ニ
      番工料・賄志
  村中安全・五穀豊饒
  為現当二世快楽也
  同時両月十有二暁
      庄屋
       太郎兵衛
      長百姓
       平左衛門
      惣代
       仁左衛門

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