開館10周年記念企画(11月~3月)「ふくいの勧業博覧会」
          
          およそ140年も前のこと。 福井県内で地方色豊かな博覧会が開催されていました。
          明治時代からはじまった博覧会はお客さんが楽しむことよりも殖産興業(生産を増やし、産業を盛んにするという明治政府の方針)のために商品の販路を開拓することに主眼を置いたものでした。
          今回はこの博覧会(共進会・品評会を含む)にスポットを当てて、ふくいの産業振興のようすを紹介します。
          会期
          平成24年10月26日(金)~12月19日(水) 文書館閲覧室
          展示説明会
          11月4日(日)11:00~、13:30~ 11月25日(日)11:00~、13:30~ 
          ふくいの博覧会その1 福井博覧会
          第1回内国勧業博覧会が行われる1877年(明治10)よりも早い明治5年に福井県内ではユニークな博覧会が行われていました。
          現在見つかっている博覧会への出品物一覧を示す資料をつなぎあわせてみると 「第4号」がみつかっていませんが、おおよその出品物がわかります。
          
          足羽県の博覧会出品一覧(部分)
          上田重兵衛家文書 K0004-01161 
          1872年(明治5)に福井市街の東本願寺掛所で開催された博覧会の出品一覧です。
          油団や奉書紬などの名産品のほかに松平忠昌のものとされる太刀など、珍しい品々も並べられていました。
          おもな出品物
          第1号 石造物、奇石 蝋石彫孔子古像(学校)など 107
          第2号 名木、木製物 水晶、亀甲竹など 34 
          第3号 陶磁器、工芸品 朝鮮焼、光琳自作重箱など 122
          第4号(欠)
          第5号 医療品 骨骸骨、舶来薬品など 6
          第6号 糸、糸製品 松岡手挽糸、奉書紬など 25
          第7号 舶来珍品 イスパニア国古銀銭など 18
          第8号 歴史的事物 継体天皇装束、悪源太義平笛など 88
          第9号 自然物中珍品 青鸞羽箒、化石など 24 
          
          福井博覧会広告
          福井県立図書館(石倉家旧蔵)文書 A0067-01208 
          1877年(明治10)に行われた福井博覧会では宮内省から千鳥の香炉や御衣などを借りて展示したほか、さまざまな珍しい品物を並べて「学問発明ノ種」になるため、見学に来るよう呼びかけていることがわかります。
          また、入場券は通券で1名2銭でした。
          
          明治11年展覧会の広告
          福井県立図書館(石倉家旧蔵)文書 A0067(整理中) 
          この展覧会は藩主の別邸として使われていた御泉水邸の庭園(現・養浩館庭園)を当時管轄下にあった石川県が借り受け公園として開放した「聚翠園」開園に際して開かれたものです。
          金沢博物館(明治9年開設)の陳列品のうち珍しいものを借り受けて、聚翠園および西本願寺別院で開催されました。
          
          博覧会への出品を呼びかける書類
          「(博覧会開催ニ付書付)」 
          片岡五郎兵衛家文書(当館寄託) A0027-10066 
          1873年(明治6)6月に福井東御堂(東本願寺別院)において 福井博覧会を開催するよう依頼があったことなどが記されています。 現在のところ、明治5年と同10年にはそれぞれ博覧会が開かれたことがわかっていますが、
          明治6年の博覧会資料は他に残っておらず、詳細は不明です。
          
          
          
          
          
          福井県重要物産共進会絵はがき 1911年(明治44年)
          坪田仁兵衛家文書 C0005-00302~00306
          福井県重要物産共進会は2回行われました。 この絵はがきは、そのうち2回目の開催を記念して作成されたものです。 福井県物産館が会場となったことや、福井県会議事堂が参考館の会場となったことなどがわかります。
          明治の内国勧業博覧会
          明治時代に入り、日本は国家の近代化を目指して産業を育成します。
          その政策の一つが全国の名産品を取りそろえて展示することで国内産業の活性化を目指す、博覧会を開催することでした。
          
          第5回内国勧業博覧会の案内図 1903年(明治36)
          矢尾真雄家文書(当館蔵) C0065-00149
          *裏面は閲覧室机上のパネルをご覧ください。 
          大阪で行われた博覧会の図。裏面には会場内外の案内文が記されています。
          
          出品者の乗車(船)賃金割引証、福井県出品協会会員章 1903年(明治36)
          加藤竹雄家文書(当館蔵) A0052-01210
          デジタルアーカイブは
こちら ふくいの博覧会その2 松平試農場の品評会
          この品評会は1915年(大正4)に大正天皇の即位大礼を記念して行われました。
          松平試農場はイギリスで農業を学んだ松平康荘が設立した農事試験場です。全国的にみても高い農業技術を持っていたことで有名で、特に果樹の栽培研究が際立って優れていました。
          
          
          『大正四年大礼記念農事功労者表彰農産品評会報告』 
          1915年(大正4) 40000302(当館蔵)
          ふくいの博覧会その3 福井復興博覧会
          1952年(昭和27)、戦災と福井地震からの復興をうたった福井復興博覧会が開催されました。
          この博覧会は別名「繊維博」とよばれ、ふくいを代表する産業であった繊維業を広く内外に伝える目的をもっていました。また、震災直後に慰問に訪れた三笠宮崇仁親王が来賓として再訪して復興を印象づけたほか、芸能センターや動物園なども作られ、来館者を楽しませる工夫がなされていました。
          
          復興博覧会パンフレット
          「Let’s to FUKUI AND FUKUI RECONSTRUCTION FAIR」(裏面)
          1952年(昭和27) 大正昭和福井県史資料(整理中)
          このパンフレットはほとんど英文で記されています。外国人の来客を見込んで作成されたものと考えられます。
          
          Diary note
          野尻喜平治家文書(当館蔵) I0076-01173
          デジタルアーカイブは
こちら芸能センターで歌う美空ひばり
          『福井復興博覧会 RECOLLECTIONS of FUKUI EXHIBITION』
          福井県立図書館蔵 H606/H/1A
          ポスター