残したい。大切な思い出-記録を未来へ-
6月9日の国際アーカイブズの日にちなんで、身近な文房具や虫・ネズミ・カビ、災害によっていたんだ文書館の資料を展示し、簡単な補修方法とその予防のポイントを紹介しています。
会期
平成24年5月25日(金)~6月27日(水) 文書館閲覧室
6月9日の「国際アーカイブズの日」って?
文書や記録を保存し、その利用を図ることの大切さを考える日。
1948年(昭和23)6月9日、国際公文書館会議(ICA)の発足にちなんでいます。
和紙をつかった補修方法 -繕い-
比較的小さな傷みを補修する方法です。
酸性紙でもろくなった洋紙の縁や綴り穴の補強、折り切れてしまった地図などの補修にも応用できます。
展示期間中の毎日曜日(5/27、6/3・10・17・24)に閲覧室に体験コーナーを開設(予約不要)。
世界中で補修に用いられている和紙。その優れた”チカラ”が実感できる「繕い」を体験してみませんか?
残したい思い出の資料
たとえば、修学旅行の文集や旅の記録、家族の写真など。
左から
「大正六年福井県師範学校本科女子部第4学年生修学旅行日誌」 1917年(大正6)
伊藤三郎左衛門家文書(当館蔵) I0058-00346
「白山禅定并入湯記簿」 1883年(明治16)
勝見宗左衛門家文書(当館蔵) B0037-00542
デジタルアーカイブは
こちら
「家族写真3点」 年未詳
長谷川保敏家文書(当館蔵) X0144-00212、00215、00221(整理中)
夏休みの日記や手作りの本、卒業証書など。そんな大切に残しておきたい資料はありませんか?
「夏休日誌」 1913年(大正2)
松田
三左衛門家文書(当館蔵) A0169-02547
デジタルアーカイブは
こちら
「仏語単語篇(手製教科書)」 1926年(大正15)
藤野厳九郎家文書(当館寄託) C0125-00089
「卒業証書」 1913年(大正2)
桜井市兵衛家文書(当館蔵) N0055-00453
デジタルアーカイブは
こちら
粘着テープの跡
少し時間がたつとテープの粘着剤が変色、劣化して紙にしみこんでしまいます。
修復には特別な技術が必要で、とても高価です。
長期間保管するもの、大切な資料には使わないようにします。
鉄製金具のさび
ホチキスや虫ピン、クリップなど鉄製の金具は長期間資料につけたままにすると、さびで資料そのものをいためてしまいます。とくに湿度の高い県内では思いのほか、早くさびてしまいます。
資料を長期間保存する時にはホチキスやクリップは取り除き、必要に応じてこよりで綴じなおします。
酸性紙
「(水稲栽培試験成績、雑草防除、水稲新品種育成)」 1958年(昭和33)
関東東山農業試験場 40006328
インクのにじみ止め(サイズ剤)を定着させるため、硫酸アルミニウムを添加した紙を酸性紙といいます。硫酸アルミニウムは紙や大気中の水分と反応し、紙を構成する繊維(セルロース)を徐々に分解する作用をもっています。日本では戦前・戦後の昭和15~25年頃に多く用いられました。
劣化した紙の状態を元に戻すことはできませんが、脱酸スプレーを使って酸化の進行を止めることはできます。
弱くなった縁の部分や綴り穴は和紙で補強します(右側)。
虫による被害
「特別地価修正一筆限表」 1890年(明治23)
松田
三左衛門家文書(当館蔵) A0169-02558
デジタルアーカイブは
こちら
紙資料をたべる害虫としては「シミ」と「シバンムシ」がよく知られています。
この資料はシバンムシによって食われたものです。シバンムシはトンネル状に資料に孔をあけてしまうので 被害は甚大です。
いっぽう、シミは糊づけした紙を好み、表面をなめるように浅く食べていきます。
虫に食われてしまった部分は元にはもどりません。日常の予防が大切です。
ネズミにかじられてしまった写真
「(女性肖像写真、「森勢つるの君」、袴・帽子、撮影:福井 和田吾妻館)」
年未詳 伊藤三郎左衛門家文書(当館蔵) I0058-00423
津波の被害を受けた写真のクリーニング作業
福井県内では東日本大震災の被災地支援の一環として鯖江市民を中心に活動しているNPO団体「東日本大震災福幸支援チーム だんね~座」が被害を受けた写真のクリーニング作業を行っています。
高校生も参加して思い出の写真がこれ以上劣化するのを防ぎ、持ち主の手元に届けられるよう活動しているようすをパネルで紹介しています。
ポスター