記録を未来へ -文書館の日々の取組みから-
福井県の歴史的公文書と県域の記録資料を選別・収集、保存し、 利用できるようにする施設です。
今回は、6月9日の国際アーカイブズの日にちなみ、資料の劣化の例とともに、 文書館での資料保存の日々の取組みを紹介します。
会期
平成25年5月24日(金)~6月26日(水) 文書館閲覧室
6月9日の「国際アーカイブズの日」って?
文書や記録を保存し、その利用を図ることの大切さを考える日。
1948年(昭和23)6月9日、国際公文書館会議(ICA)の発足にちなんでいます。
補修のようすをのぞいてみませんか?
図面を撮影する前の処置として、破れがひろがらないよう和紙をつかって繕いを行います。
6月2日(日)10:00~16:00
展示ケースのようす
鉄製金具のさびが資料を痛めた例
劣化した粘着剤のあと
酸性紙と和紙による補強
シバンムシに食い荒された資料
資料の補修法 -繕い-
今立産の楮チップとリーフキャスティングマシンで補修した資料
その他の展示資料(机上)
(左)害虫モニタリング用のトラップ
(右)さびたクリップのはずし方
外パネル 文書館での資料保存の取組み
文書館では資料をながく将来へ伝えるために、総合的害虫管理*の観点から、より安全で環境にやさしい方法で、 さまざまな取組みを行っています。
*総合的害虫管理(IPM)とは?
化学薬剤だけに頼らず、複数の防除法を合理的に組み合わせることで生物被害をできるだけ回避し、制御する方法です。
1.二酸化炭素を用いた殺虫処理
文書館に運び込まれた資料はくん蒸室で殺虫処理を行います。以前は薬剤を用いて、殺虫・殺菌をしていましたが、現在は環境や人体にやさしい二酸化炭素を用いた殺虫処理を実施しています。
2.資料のクリーニング
整理が終わった資料は書庫に収蔵されます。書庫の中で虫やカビが発生しないよう、 書庫の清掃活動にも力を入れています。
3.書庫内環境の整備
整理が終わった資料は書庫に収蔵されます。書庫の中で虫やカビが発生しないよう、 書庫の清掃活動にも力を入れています。
4.粘着マットの設置
書庫の前室には粘着マットを設置しています。粘着マットを通過することで、靴底の埃を除去した状態で書庫に入ることができます。
5.書庫の温・湿度管理
温・湿度計を各書庫に設置して記録し、管理しています。また、職員が書庫に入室した際、異常を感じた場合には担当者に連絡し、書庫内のチェックを行っています。
7.モニタリング調査
書庫内の虫の発生状況を確認するため、各書庫の広さや構造に合わせて粘着トラップを設置し、毎月チェックして記録しています。
虫を捕まえるだけでなく、どのような虫が発生・侵入しやすいか傾向をつかんだ上で対策を立てることができます。
7.保存箱に入れて保存
古文書やいたみの激しい資料は、中性紙の保存箱や封筒に入れて保存しています。
文書館での資料保存の取組みは、日ごろのこまめな観察と清掃活動が基本となっています。いち早く異変に気づき、対処することで、資料を守り、未来に伝えることができると考えています。
ご家庭に古い資料をお持ちの方で、保存管理に困っておられる方は、文書館にご相談ください。
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