瓜生三寅と明治の教科書
『瓜生氏日本国尽』巻四 松平文庫 福井県立図書館保管
3月は卒業や入学準備の季節です。
今回は福井藩の英語教育に大きな足跡を残し、 のちに日本の近代教育の始まりとなる「学制」の制定にもかかわった 瓜生三寅を紹介します。
あわせて、明治時代の県内に残る教科書を展示します。
会期
平成22年2月26日(金)~3月24日(水) 文書館閲覧室
瓜生三寅
国立国会図書館提供
1842年(天保13)年、越前福井城下万町(現 福井市春山)生。60年(万延1)長崎に遊学し、翌年米国人フルベッキなどから英学を学びました。
64年(元治1)、英学の実力を認められ福井藩主松平茂昭に召されます。さらに70年(明治3)上京し、大学別当(長官)であった松平春嶽によって大学大助教(大学の教官の職階のひとつ)に起用。
71年(明治4)には文部少教授となり編輯局に勤務し、学制の起草にたずさわりました。
交道起源草稿
松
平文庫 福井県立図書館保管 A0143-00527
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米国人ヘンリー・ホイートンが1836年に著した『Elements of International Low』をW. B. ローレンスが改訂しました。これを瓜生が口訳し、山岡次郎太が筆記したものです。
原本の『Elements of International Low』は一般的には「万国公法」と訳されていますが、瓜生は「交道起源」と訳しました。
1868年(明治1)に『交道起源』は出版されますが、これはその草稿です。
梅村枯葉集
福井大学附属図書館蔵
瓜生三寅が安政5年から明治44年までの自作漢詩をつづった『梅村枯葉集』の巻末に自筆とことわりのある履歴が6丁あります。
三寅は寅のほか、梅村と名のりました。
下等小学八級卒業証書
1874年(明治7) 桜井市兵衛家文書(当館蔵 N0055-00557
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温知小学校は現在の若狭町立梅の里小学校(旧・三方第二小学校)の前身で、「下等小学第八級」は一年生の最初の半年にあたります。
この証書の主である桜井兼吉が使っていた教科書も展示しています。
ポスター