Fukui Prefectural Archives

松平文庫テーマ展38

Matsudaira Bunko Theme Exhibition 38

概 要展示内容LINK

右筆のお仕事

 松平文庫は福井藩・越前松平家に伝えられたひとつの資料群です。福井藩の諸記録や諸資料を作成するなど、その資料群の形成と管理に深くかかわってきたのは福井藩士であった福井藩の右筆(祐筆)たちです。
 展示では、松平文庫および越知神社文書(県指定文化財、文書館寄託)のなかから、文書作成を専門とした右筆の職務がわかる資料を紹介します。

会 期

2022年2月18日(金)~2022年4月10日(日) ※終了しました。

会 場

福井県文書館閲覧室

展示内容

右筆たちの仕事場と詰所
「御座所御間所座配図」

1846年(弘化3)「御座所御間所座配図」
松平文庫(当館保管)A0143-01067
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 弘化3年(1846)に完成し、福井藩の藩庁と藩主の住居を兼ねた御座所の図面です。御用人の詰所横に右筆の仕事場である「御右筆部屋」がみえます。また、「御右筆」「御内御右筆」と書かれた部屋は右筆たちの詰所と考えられます。

歴代の右筆たち
「諸役年表九」

年月日未詳「諸役年表九」
松平文庫(当館保管)A0143-01125
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 貞享2年(1685)以降の福井藩の御右筆と上役の御右筆受込、御内用御右筆と上役の御内用御右筆受込の就任・昇任・退任の状況を年表にした資料です。右筆たちは中級武士から選ばれることが通例だったことがわかります。

文書作成のための覚書
「(寺社并地下人御朱印之案)」

1659年(万治2)「(寺社并地下人御朱印之案)」
松平文庫(当館保管)A0143-02336
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 万治2年(1659)に福井藩から寺社等に下付する重要文書の「認様」、すなわち文書の作成方法についての覚書です。右筆の職務上、文書の料紙や書式のルールである書札礼が重要とされました。

越知山図
「越前国古今名蹟考三 丹生郡」

1859年(安政6)1月~60年(安政7)12月「越前国古今名蹟考三 丹生郡」
松平文庫(当館保管)A0143-21215-005
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藩主松平光通の寺領寄進状
「松平光通寺領寄進状」

1863年(文久3)1月~7月「松平光通寺領寄進状」
越知神社文書(当館寄託) D0502-10078

 松平文庫「寺社并地下人御朱印之案」にみえる案文の正文で、越知神社(越前町)に伝えられた資料です。万治2年(1659)、丹生郡のうち大谷村・老原村の高百石の地を、改めて越知山大権現に寄進する内容のものです。

右筆が作成した案文
「寺社并地下人御朱印之案」

1659年(万治)「寺社并地下人御朱印之案」
松平文庫(当館保管)A0143-02335
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 万治2年(1659)に福井藩から寺社等に下付する寄進状などの案文を集成した資料で、右筆が作成した資料です。案文は発信者側の控として正文に準じる価値を有し、正文が失われた場合、残された案文は重要資料となりました。

これも右筆の職務
「制札認方雛形」

年月日未詳「制札認方雛形」
松平文庫(当館保管)A0143-02344
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 福井城北側の清水門に設置する「下馬札」の文字の書体を、右筆が具体的に検討した際の資料と考えられます。「寛政六年」(1784)の表記と当時右筆であった「岡谷弥右衛門」の名がみえ、右筆の職務の一端がうかがえます。