Fukui Prefectural Archives

令和3年度企画展示

Planned Exhibition

概 要展示内容LINK

武士と武術

 今年はいよいよ「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」(7月23日~8月8日/8月24日~9月5日)の開催が、また当県をメイン会場として「令和3年度全国高等学校総合体育大会」(7月24日~8月24日)の開催が予定されています。
 本展示は両大会の開催にあわせた企画として、福井藩や小浜藩などの武士と武術にまつわる資料を紹介します。現代のスポーツとの間にどのような共通点や違いがあるでしょうか。

会 期

2021年6月25日(金)~8月25日(水) ※終了しました。

会 場

福井県文書館閲覧室

展示内容

1 武士にとっての「文」「武」
「「辰一四」(留守居大番頭無役留守居支配ゟ諸士江申渡セル文武ノ書付)([辰之標「文武」]のうち)」

年月日未詳「「辰一四」(留守居大番頭無役留守居支配ゟ諸士江申渡セル文武ノ書付)([辰之標「文武」]のうち)」
松平文庫(当館保管) A0143-02479-005

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 参勤で藩主松平春嶽不在の嘉永2年(1849)、福井の留守居たちが、藩士に対して文武に精進するよう申し渡しています。実は春嶽、藩による借り上げが藩士の家計を圧迫していて、それが「武士の常にして勿論」の文武の修行に影響しているのではないかと、気にかけながら福井を後にしていました。留守居たちは、そんな春嶽の思いに応えるべく、「文」を学んで「忍従の義」を厚く、「武」に励んで「勇士の志」を究め、互いに「文武両道之義」を高め合うよう、藩士に呼びかけたのです。ただ、押しつけではありません。あくまでも呼びかけです。

2 誓いを破ったら天罰!
「敬白起請文之事」

1654年(承応3)02月「敬白起請文之事」
出淵家文書(当館蔵) X0139-00002

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 門人が神仏にかけて師弟の誓いを立てた起請文です。牛王宝印という護符を裏返しにして書くため、裏抜けして、文字が判読しにくくなっています。この起請文を受け取った「出淵平兵衛殿」は、かの柳生宗矩の弟子で、松平忠昌の代に召し抱えられた出淵平兵衛盛次、福井藩の剣術師範出淵家(柳生新陰流)の初代です。ちなみに起請文の文章は、鎌倉幕府の基本法典「御成敗式目」からとられています。

3 秘伝書ちょっと貸してー
「新影流秘書」

1777年(安永6)06月04日「新影流秘書」
出淵家文書(当館蔵) X0139-00004

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 剣術の秘伝書(新陰流)です。福井藩の剣術師範出淵文太郎盛務(柳生新陰流)が写した写本で、原本は別の師範横山家(新影松田方幕屋流)に伝わっていたようです。一見すると書きかけのように見えますが、これも秘伝なのでしょうか。

3 ほんとに秘伝?
「新陰流秘書」

年月日未詳「新陰流秘書」
松平文庫(当館保管) A0143-21124

 同じく剣術のしかも新陰流の秘伝書です。しかし、出淵家ではなく、横山家でもなく松平文庫、福井藩の文蔵にありました。この秘伝書は文のみで、出淵家(横山家)の秘伝書のような絵は描かれていません。

4 伊藤家の歴代門人
「(門人名簿)」
「(門人名簿)」
「(門人名簿)」
「(門人名簿)」
「(門人名簿)」

「(門人名簿)」
伊藤家文書(福井県立図書館所蔵)(整理中)

 福井藩の馬術師範伊藤家(神当流)の門人が神仏に起請する文章に続けて名前を書き継いでいます。入門時に書いたのでしょうか。開ききると10m以上、しかもその続きが、まだ2本もあります。

5 道はおなじ
「五箇大事」
「五箇大事」

「五箇大事」
伊藤家文書(福井県立図書館所蔵)(整理中)

 天保2年(1832)に福井藩の馬術師範伊藤家(神当流)の五郎太郎が横山藤八郎時庸から伝授された秘伝です。馬術、かと思いきや、師範の藤八郎は剣術師範横山家(新影松田方幕屋流)の当主、これは馬術ではなく、剣術の秘伝でした。

6 師範とて 暗記はやはり 語呂あわせ?
「馬形目利和歌」

「馬形目利和歌」 伊藤家文書(福井県立図書館所蔵)(整理中)

 馬を見分けるコツが5・7・5・7・7の短歌になっています。これは福井藩の馬術師範伊藤家(神当流)の蔵書の中にあった1冊です。もしかして、師範の虎の巻でしょうか?

7 松平春嶽の愛馬は「クロサワ」
「江戸表江持参諸用留帳」

「江戸表江持参諸用留帳」 伊藤家文書(福井県立図書館所蔵)(整理中)

 弘化4年(1847)時の福井藩主松平春嶽の御馬は、将軍から拝領した栗毛の「谷川」を筆頭に全19頭。それらを馬術師範6家で分担して預かっていました。これも馬術師範の大事な仕事だったようです。

8 天下無双の団野万右衛門
「諸士先祖之記(諸士先祖之記録 三)」

1721年(享保6)「諸士先祖之記(諸士先祖之記録 三)」
松平文庫(当館保管) A0143-02022

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 主命によって編纂された福井藩士各家の系図・由緒集です。団野は柔術師範(柔気流)、その初代万右衛門定吉は美濃国出身。いったいなぜ、美濃国の万右衛門が越前国の福井藩に召し抱えられることになったのでしょうか・・・・・・

9 牛乳搾乳商になった団野確爾
「子弟輩 八(イハニホトチヲワカヨタツネナムウ)」

年月日未詳「子弟輩 八(イハニホトチヲワカヨタツネナムウ)」
松平文庫(当館保管) A0143-01095

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 福井藩の柔術(柔気流)師範団野千久馬の子確爾、確爾もまた明治2年(1869)には柔術世話役頭取に。ところがその後、帰農して土地を開梱、さらに洋牛を飼育して牛乳を販売。確爾は柔術家から農家、畜産家へと転身していきました。

10 山崎兵左衛門、ベスト100入り
「武芸百首」

年月日未詳「武芸百首」
吉川充雄家文書(当館蔵) C0037-00657

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 神代から堀部安兵衛まで、忠孝を体現した見本とすべき100人をとりあげて肖像・短歌・逸話で紹介しています(撰者は戯作者の笠亭仙果)。その中に「中条流の達人」で「武名高し」、越前の山崎兵左衛門がいました。そんな兵左衛門の短歌はこちら・・・・・・

「老ぬれど むかしとつたる 杵柄や 小太刀は家の 芸とこそなれ」

11 もちろん殿様も
「用方目録」

1852年(嘉永5)「用方目録」 松平文庫(当館保管) A0143-21144

 糸魚川藩主松平直春の子で当時17歳の松平鑜之助が伝授された弓術の秘伝(日置流竹林派)です。鑜之助は安政5年(1858)に松平春嶽の跡を継いで最後の福井藩主となった茂昭です。安政2年には、剣術と槍術の目録も伝授されています。

「鎗術目録」(十文字鎌)」
「直心影流窮理巻」(直心影流)
「鎗術目録」「直心影流窮理巻」

1855年(安政2)「鎗術目録」 松平文庫(当館保管) A0143-21165
1855年(安政2)「直心影流窮理巻」 松平文庫(当館保管) A0143-21122