Fukui Prefectural Archives

松平文庫テーマ展36

Matsudaira Bunko Theme Exhibition 36

概 要展示内容LINK

秀康刀剣ものがたり

 近年、刀剣を題材としたオンラインゲームなどを背景に、全国的に刀剣がブームとなっています。刀剣には長い歴史を経て受け継がれてきた物語性があり、これが多くの人を惹き付ける魅力の一つとなっています。
 本展示では、初代福井藩主結城秀康にゆかりのある刀剣にまつわる資料を紹介します。

会 期

2021年10月29日(金)~12月22日(水) ※終了しました

会 場

福井県文書館閲覧室

展示内容

1 石田正宗(切込正宗)

この刀は三成にもらったもの
「国事叢記 一(天正2~元和1)」

1846年(弘化3)「国事叢記 一(天正2~元和1)」
松平文庫(当館保管) A0143-01184
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 1599 年(慶長4)、家康との主導権争いに敗れた石田三成は、居城の佐和山城に蟄居することとなりました。
 その際、三成を城まで護送したのが秀康です。その御礼として、三成から名刀「石田正宗(切込正宗)」を譲り受けました。
 資料の中で、三成はこの刀は豊臣秀吉から拝領したものと語っています。

城まで送ってくよ
「南越雑話 下」

1748年(寛延1)~1781年(安永10)「南越雑話 下」
松平文庫(当館保管) A0143-02068
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 「南越雑話」は越前松平家に伝わる逸話を集成したものです。
 上巻には、秀康が三成を佐和山城に護送した際の逸話が収録されています。
 三成は差料(自分の腰に差す刀)にしてもらえたらありがたいと、秀吉から拝領した大切な刀を秀康に渡しています。

石田正宗は福井にある?!
「正二位慶永公御著述真雪草紙」

年月日未詳 「正二位慶永公御著述真雪草紙」
松平文庫(当館保管) A0143-21554

 『真雪草紙』は、松平春嶽(慶永)が越前に伝わる故事逸話を集録したものです。
 名刀「小狐丸」についてのエピソードの他に、「石田正宗」についてのエピソードもあります。
 この中で、春嶽は越前松平家に伝わる「五智の則重の刀」が「石田正宗」であるという話があるが、これは間違いであると指摘しています。

2 稲葉郷(稲葉江)

この刀は父にもらったもの
「越前世譜 秀康様御代(1)」

1574年(天正2)~ 1607年(慶長12)「越前世譜 秀康様御代(1)」
松平文庫(当館保管) A0143-01799
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 1600年(慶長5)の関ヶ原の戦いの直前、秀康は父の家康から上杉景勝の南下に備える役目が与えられました。
 そして、家康から甲冑や采配(戦場で武将が兵を指揮するために振った道具)に加えて、名刀「稲葉郷(稲葉江)」を譲り受けました。

ここは私にお任せください
「南越雑話 上」

1748年(寛延1)~1781年(安永10)「南越雑話 上」
松平文庫(当館保管) A0143-02066
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 「南越雑話」には「石田正宗」だけではなく、「稲葉郷」も登場しています。
 秀康が家康から「稲葉郷」を授けられた際のエピソードは、江戸時代に福井藩内で広く知られており、多くの資料に記録されたようです。
 ここでは、「世譜」と異なり、秀康が家康から授けられたのは「稲葉郷」と甲冑となっています。

3 御手杵

三名槍の一つ 御手杵
「結城御代記」

1852年(嘉永5)「結城御代記」
松平文庫(当館保管) A0143-02237
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 『結城御代記』は結城家の歴史書の一つです。資料は伯爵松平家(松平大和守家)に秘蔵されていたものを1913年(大正2)6月に写したものです。
 名槍「御手杵」は結城晴朝から秀康、さらにはその子松平直基へと受け継がれていきました。また、馬印(武将の所在を明示するための標識)としても用いられていたようです。