概 要
福井県文書館では、文書館叢書第4巻・第5巻として『越前松平家家譜(かふ)』慶永1・2を発刊しました。
「家譜」は初代福井藩主結城秀康から最後の藩主松平茂昭にいたる253巻に加え、慶永(春嶽)が藩主を退いた後、明治以降の記述が追加として17巻存在しており、270巻にわたって松平家の記述が綴られています。当館では平成21年度と22年度で慶永に関する部分を5冊に分けて活字化する予定です。
「家譜」の内容は越前松平家の冠婚葬祭や幕府・将軍家との諸儀礼および幕府法令等がかなりの部分を占めていますが、藩内の法令や財政・自然災害など、藩政全般にわたる記述も少なからずみられ、幕末の福井藩の状態をうかがい知る基礎的な資料となっています。
第5巻では1843年(天保14)から1853年(嘉永6)までを収録しています。この巻では徹底した倹約に加えて、50年にわたって続けられた産物政策の中止と農業振興という藩政の転換、外交関係の緊張に伴う海岸の巡見や台場築造、軍制の洋式化、大規模な調練(軍事訓練)などの記録が見られます。そしてペリー来航の嘉永6年には幕府からの命を受けて在府藩士が品川御殿山の警衛にあたり、福井からも出兵準備を進めたこと、外国人とのやり取りに関する照会などが記されています。