6 豪雪・国体(1)
 県内の道路・通信施設や公共施設の建設にはずみをつけた1960年代のできごとに、63年の「38豪雪」と68年の「福井国体」があります。

 戦後の福井県の大雪の年をあげると、1947年(昭和22)・59年・63年・68年・77年・81年・86年がそれにあたります。なかでも63年(38豪雪)と81年(56豪雪)にはとくに大きな雪害が発生し、県は豪雪対策本部を設置するとともに、自衛隊の災害派遣を要請しました。

 38豪雪の場合、県内家屋の全半壊は約200世帯におよび、勝山市野向町横倉と足羽郡美山村籠谷・大谷間でのなだれにより20人の命が失われました。また、大野郡西谷村や今立郡池田村など山間部の22の村むらが孤立し、生活物資の調達が困難となりました。融雪によるなだれや家屋への浸水も被害を拡大させ、物的損害総額は170億円余にものぼりました。

 この38豪雪と、その2年後の9月の台風襲来で発生した40・9風水害を契機として山間地域の人びとの離村に拍車がかかり、いわゆる「過疎」問題が登場しました。県では、道路整備をいちだんと進めるとともに、除雪力の増強・消雪パイプの敷設など、総合的な災害対策に取り組むことになります。

 この結果、56豪雪のさいには一部の山間集落をのぞいて物資の調達は大幅に改善され、新しい除雪システムも効果をあげました。しかし、路上に放置された自動車が除雪の障害となるなど、道路整備の進展とともに成立した自動車交通に依存する社会の弱点を指摘する声もあがりました。
  福井駅ホームの除雪(38豪雪)
  ▲福井駅ホームの除雪(38豪雪)  駅ホームの屋根を破り雪を降ろす。

  「38」豪雪」「56豪雪」積雪量(福井市)
    ▲「38豪雪」「56豪雪」積雪量(福井市)
    『北陸地方を襲った福井県豪雪調査概報』、『同』追録による。

 
    到着した緊急物資(56豪雪)
   大野郡和泉村では、国道158号と越美北線が不通
   となり、約480世帯が孤立した。越美北線の荒島トン
   ネルが、大野市につながる唯一のルートとなり、徒歩
   による往来のみが可能であった。1月19日、国鉄は生
   鮮食料品の不足する同村へ、モーターカーによる物
   資輸送を行なった。
                  福井県土木部道路維持課蔵
到着した緊急物資(56豪雪)

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