2 福井震災(1)
 1948年(昭和23)6月28日の午後5時過ぎ(サマータイム)、坂井郡丸岡町付近を震源に「福井大地震」 が発生しました。その被害は福井・坂井平野全域にわたり、倒壊・焼失した家屋数が約4万6000戸、死者・行方不明者が3800人あまりにも達しました。これは戦後では95年(平成7)の「阪神・淡路大震災」につぐ大規模なものであり、家屋倒壊率のあまりの高さから、その後気象庁震度階にあらたに震度7(激震)が設定されました。

 道路や堤防には陥没や地割れが生じ、中角橋・木田橋など九頭竜川・足羽川の橋が落ちて交通網は寸断されました。また震災直後に、福井市をはじめ丸岡・金津・春江・松岡・森田町で火災が発生し、人びとの生活をいっそう不安なものとしました。

県は7月1日に震災対策本部を設置し、福井軍政部の強力なバックアップのもとで被災者への救援物資補給や飲料水の確保などの復旧と援護活動を行いました。また石川・富山県など近府県の応援隊がつぎつぎに来県し、道路・橋梁の応急復旧工事や倒壊家屋の整理に力をつくしました。一方、学校や役場などに避難した被災者には、日本赤十字社や他府県からの応援救護団が手当を行い、重傷者は鯖江病院や石川県山中国立病院へ収容されました。そのほかにも連合青年団や労働団体・宗教団体によって積極的な救護活動が行われました。また全国各地からたくさんの援助物資や義援金がよせられています。
    罹災証明書
    ▲罹災証明書
    福井市が6月31日に発行したも
    の。被災者はこの照明書をもとに
    配給をうけた。
             福井県立博物館蔵
北陸線九頭竜川鉄橋  北陸線九頭竜川鉄橋
 落橋しねじ曲がった鉄路が地震の強烈さを
 ものがたる。橋がことごとく落ちたため、全国
 から福井市に集まった救援物資は、九頭竜
 川上流の五松橋・鳴鹿橋をとおって坂井郡内
 に届けられた。
  ジェームス・原谷氏撮影 朝日新聞社提供

←前テーマ→次ページ目次