1 維新と民衆(2) | |
![]() ▲「三ケ条」の念書 和泉村 吉岡和男氏蔵 |
![]() ▲名号旗 この「南無阿弥陀仏」と記した名号旗を先頭 に押し立て、群集が大野町に押しかけたとい う。旗の上部に空く穴は、騒動のさなかに火 の粉で焼けた跡と伝えられている。 和泉村 吉岡和男氏蔵 |
◆「三ケ条」の念書 | |
「三ケ条」の念書(聞届書)は、いったん騒ぎを鎮めるために、県が人びとの要求を聞き入れることを約束したものである。 内容は、(1)「耶蘇宗」(キリスト教)を越前に入れないこと、(2)これまでどおりに真宗の法談を認めること、(3)学校で洋文を用いないこと、の3項目からなっている。しかし、ここには、騒動の目的や要求が十分盛り込まれていないように思われる。人びとは西洋からもたらされた文物を「ヤソ」とよび、そのすべてを排除しようとしていた。騒動の過程で、「朝廷は耶蘇教を好む」「断髪や洋服は耶蘇の俗」「三条の教則は耶蘇の教え」「学校の洋文は耶蘇の文」と訴えた人びとの言動からも、新政策の多くを拒絶していたことがわかる。地租改正や改暦に対しても、抵抗の構えをみせていた。しかし、念書にはこれらの主張の多くが脱落しているのである。 |
|
![]() |
![]() 同紙は、県内最初の新聞。11号は、騒動の原因の1つに、人びとが教導職の東部・西部の管轄名称の廃止を東西本願寺の「名号」の廃止と誤解したことをあげた。さらに僧侶が「頑民」をせん動したことを非難し、「無知蒙昧」の徒が「一揆」を引きおこしたかのように報じていた。 福井県立博物館・福井県立図書館蔵 |