32 福井城下の町絵師・夢楽洞万司(3)

夢楽洞絵馬「忠臣蔵・討入」  夢楽洞絵馬「忠臣蔵・討入」
 夢楽洞の2代万司以降の作品によくみられる画題で、江戸の文
 政期末から明治前期(1830〜85年頃)にかけての作品が多く残さ
 れている。赤穂浪士が主君の仇討ちをはたす「討入」の場面で、
 浄瑠璃「仮名手本忠臣蔵」や歌舞伎「忠臣いろは軍記」などの脚
 本から取材したものと思われる。1849年(嘉永2)に奉納された。
                        朝日町岩開 八幡神社蔵
夢楽洞絵馬「大織冠」 (復元作品)  夢楽洞絵馬「大織冠」 (復元作品)
 代々夢楽洞の絵師が得意とした画題。県
 内に安永期から明治初年(1772〜1870年
 頃)にかけての作品が多く残っている。画
 題は、幸若舞曲や浄瑠璃・歌舞伎で知ら
 れる「大織冠」(藤原鎌足が海女の力を借
 りて竜宮から宝珠を取り返す場面)。この
 絵馬は、「馬琴」を名乗った二代万司の晩
 年期の作と推定される。現物は清水町在
 田の熊野神社に現存する。嘉永期(1848
 〜54年)に奉納されたものと思われる。
   福井県立博物館蔵(島村正博氏製作)

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