30 祭りと見せ物(1)
 福井城下の1年は「馬威し」で始まりました。これは正月神事の1つである左義長の一環として行われたもので、勝山や小浜など各地で左義長は行われていました。江戸時代には、このような祭りが各地で年中行事として行われ、庶民の娯楽となっていました。

 表は1860年(万延1)に大野城下で行われた祭礼を示したものです。これをみると、春先から秋までの間、途切れることなくどこかで祭礼が行われていたことがわかります。また、2月の清滝宮祭礼にあわせて光玖寺で軍談昔物語興行が行われたり、4月の山王宮の祭礼時には餅まきが行われました。8月の山王宮の祭礼、国生祭礼の時には相撲興行が行われています。

 このような年中行事としての祭礼は、ほかの城下や農村部でも似たような時期に同じような祭礼が行われていたようです。
小浜町の祇園祭
▲小浜町の祇園祭
小浜の祇園祭は、遠敷郡竹原にある広嶺社の神輿が小浜町の八幡社に遷座して毎
年6月14日15日に催された。祭には、描かれたような曳山のほか笠鉾、花車、大太鼓
などが各町から繰り出され、8月の放生祭とともに盛大であった。この絵巻は、文政
期(1818〜30)のものである。
                         「広嶺神社祭礼絵巻」 小浜市 広嶺神社蔵
 福井城下の馬威し 「紙本馬威図六曲屏風」
 ▲福井城下の馬威し
 「馬威し」(左義長馬)は1月14日に行われた新年の行事の1つである。馬に乗って桜門から出て疾走する武士と、それをなんとかくい止めようとす
 る町民や農民との衝突が見ものであった。町民や農民はくい止めるために、鳴り物を馬の鼻面で鳴らしたり、馬の眼前で旗を振ったりしている。
                                                              「紙本馬威図六曲屏風」 福井県立博物館蔵

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