15 街道と川舟(1) | |
越前を通る北陸道は、北国街道ともいわれ、五街道につぐ脇往還でした。近江柳ケ瀬から栃ノ木峠を越え、板取宿から細呂木宿をへて加賀へ通じており、図示したような宿場がありました。このほかにも、今庄で北陸道と分かれ木ノ芽峠を越えて敦賀に向かう街道や、府中から河野・今泉両浦に至る西街道がありました。越前最大の城下町福井からは、東郷・大野・穴馬谷をへて美濃に向かう美濃街道、九頭竜川に沿って松岡・勝山に向かう勝山街道、三国に向かう街道などがありました。 敦賀から近江に向かう街道には、両地点間の距離から七里半街道ともよばれた海津に通じる西近江路のほか、塩津に通じる深坂越・新道野越などがありました。 若狭には敦賀から小浜・本郷・高浜をへて丹後に通じる街道と、小浜から熊川をへて近江今津に通じる若狭街道とか両者間の距離から九里半越とよばれた街道が重要でした。このほかに、小浜や高浜から京都へ鯖を送ったといわれる鯖街道がいくつかありました。若狭の宿場町では熊川が著名で、その町並みは1996年(平成8)に重要伝統的建造物群保存地区に指定されました。 |
![]() ▲越前・若狭の交通路 拡大図 99KB 越前は1685年(貞享2)「越前国絵図」 (松平文庫)により作成した。 |
![]() ▲熊川宿 小浜と今津を結ぶ九里半越の宿場町であり、近江との国境近くに位置していたので番 所が置かれていた(図の左端)。また、遠敷郡の一部である上中郡の中心でもあった ので、宿内には藩主の宿泊・休憩に用いられた御茶屋や奉行所、米蔵なども置かれ ていた。 「熊川山絵図」 上中町 熊川区蔵 |
![]() ▲木ノ芽峠 敦賀郡新保宿と南条郡二ツ屋宿の間にある標高 628mの峠であり、二ツ屋をへて今庄宿で栃ノ木峠 を越える北陸道と合流していた。古来から重要な 交通の要衝であり、現在も残る石畳や茶屋から当 時のようすがしのばれる。 |