2 画期としての弥生時代(2)
  新(しん)銅鐸     
   ▲新(しん)銅鐸
   弥生時代中期もしくは後期
   鯖江市新町 高さ52.2cm
        東京国立博物館蔵    
  井ノ向1号銅鐸     

   ▲井ノ向1号銅鐸と絵画表現(一部)
   弥生時代中期 春江町井ノ向 高さ55.2cm
            兵庫県 辰馬考古資料館蔵







    井ノ向1号銅鐸の絵画表現(一部)
 弥生時代中期(紀元前2世紀〜紀元前後)になると、全国的に集落の数が急激に増え、規模も大きくなります。耕地の拡大によって富の蓄積が進むなかで、集団内の人びとの階層分化が進みました。また、集落が大きくなるにつれて、土地や水をめぐりほかの集落との対立が強まりました。この対立を解決する手段としての戦争は、弥生時代前期から始まり、中期には北陸でもみられるようになります。県内でも弥生時代中期から後期の遭跡の、大小さまざまな規模の住居跡や墓などから、石鏃・銅鏃・鉄鏃・石剣などの武器が出土しています。また、春江町から出土した弥生時代中期前半ころの、農耕祭祀に使ったと考えられる井ノ向1号銅鐸には、戦争と思われる格闘のようすが描かれています。       三国町下屋敷遺跡の銅鐸鋳型
       ▲三国町下屋敷遺跡の銅鐸鋳型
       鐸身は高さ20.7cmで、最古型式の菱
       環鈕式と考えられる。弥生時代前期
       もしくは中期 未成品 高さ31.3cm
        福井県埋蔵文化財調査センター蔵 
◆銅鐸と銅鐸鋳型
 農耕祭祀に使用されたと考えられる銅鐸は、近畿を中心に分布し、本県は日本海側の東限になっている。下屋敷遺跡から銅鐸鋳型が出土し、県内でも銅鐸を生産していた可能性が高い。県内の銅鐸は、脱穀などの絵画表現がある井ノ向2号銅鐸を最古とし、最も新しい新銅鐸は、東海地方で多く出土する三遠式銅鐸の原初的なものである。
各種の鏃(やじり)
▲各種の鏃(やじり)
福井市木田遺跡の銅鏃(複製)    敦賀市古河遺跡の石鏃
福井県立博物館蔵            福井県埋蔵文化財調査センター蔵
高浜町小和田遺跡の石戈(せっか)と石剣
▲高浜町小和田遺跡の石戈(せっか)と石剣
県内数か所で石製の剣などが出土している。
(上)石戈 長さ27cm  (下)石剣 長さ34cm 
     弥生時代中期 複製   福井県立博物館蔵

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