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 第一章 近代福井の夜明け
  第二節 藩から県へ
   一 廃藩置県と県域の変遷

廃藩置県

 明治四年(一八七一)七月十四日、明治政府は中央集権確立のため廃藩置県を断行する。これにより、版籍奉還以来藩知事の職にあった旧領主は解任のうえ東京移住を命じられ、領地、領民との封建的関係が断ち切られ藩は解体した。全国では二六一の藩がそのまま県となりそれまでの政府直轄府県と合わせて三府三〇二県となったが、福井県域には、前年十二月に旧幕府領を中心に成立した本保県と合わせて一〇の県が成立する。このうち郡上、西尾、加知山の各県は福井県域外に県庁のある飛地であった。各県の管轄地は藩が県に改められただけで、とくに、越前の八郡では複雑に交錯した封建支配の状況そのままであった(図3)。なおこれと対照的に、若狭三郡(三方・遠敷・大飯郡)はすべて小浜県の管轄地であった。これらの諸県は、大参事以下の旧藩職員のまま、重要事項は中央政府の決裁を仰ぎ、また県庁の印章も旧藩印をそのまま使用するなど暫定的なものであり、四か月後には二県に整理統合された。

図3 廃藩置県時の各県管轄地分布図(越前国)(JPEG:155KB)


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