越前・若狭の特産物としては、中世から生産されてきた和紙・絹・木地・鍛冶打物・鋳物・陶器・笏谷石・海産物などに加えて、近世に入ると人口も増え、特産物の種類や生産が増加してきた。だが、残された史料は、個々の地域の断片的なものが多く、藩の支配を越えて全国的に記述したものは少なく、とくに数量を把握することは困難である。しかし、史料の制約はあるものの、第二章第一節の表33から表35によって、越前・若狭の特産物の特徴的な傾向の大要を知ることができよう。
これらのうち、鉱山のほか和紙や打刃物など五種の特産物についてはすでに述べたので、ここでは苧や絹織物・桐油などをとりあげる。