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 第五章 宗教と文化
   第五節 建築物と絵画
    三 民家
      最古の民家坪川家
 「千古の家」と称される坪川家住宅は、建築年代を裏付ける史料を伝えていないが、十七世紀中頃までさかのぼると考えられ、県下において最も古い民家である。
写真223 坪川家住宅

写真223 坪川家住宅

図033 坪川家住宅平面図1:300(修理工事報告書より)

図033 坪川家住宅平面図1:300(修理工事報告書より)

 母屋は茅葺の入母屋造で、妻入である。前方二間のニワに続いて三間のオエと称する板ノ間があり、その広さは約三〇畳分である。オエに接してナンド・ナカノマがあり、ナカノマの奥には上段の間のオクノマがある。オクノマ・ナカノマ・ナンドは畳敷で、同家の旧家としての格式の高さがうかがえる。なおオクノマにはおくり角屋として仏壇ノ間がつけられ、またニワの左側には前角屋としてウマヤと三畳分の室が突出している。建坪は約五五坪である。
 ところで、角屋は平面を拡張する方法として越前において広く用いられている。坪川家住宅でみられたおくり角屋もあるが、母屋と棟をかえ、主棟に対して直角に突出させる空間を指す場合が一般的である。旧谷口家住宅はオイエの前方にカマヤ(釜屋)、ナンドの背後にブツマと両側に角屋を出している。



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