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 第五章 宗教と文化
   第四節 文化の諸相
     四 村と町の年中行事
      九月・十月の行事
 九日は菊の節句というが、村では秋の収穫を祝う行事の一つとなっており、当日は遊日になっていた。池田あたりでは茄子を食べる風習もあった。月の中旬から下旬にかけては秋祭が各地で行われた。晦日には伊勢あるいは出雲へ神が旅立つのを送り出す神送りが行われた。十月二日は刈納めで、この日は小豆飯を食べて祝った。十月最初の亥の日は亥子といって村全体の稲刈の終了と、田の神が山に帰るのを送る日とされ、夜は草団子餅を食べた。また、田芋掘りや大根引きなど、畑作物の収穫もこの月のうちに行われた。月の末には伊勢御師の山口角大夫が毎年のように村を訪れ、お札を配り歩き初穂料を集めて廻った。神迎えは例年この月の二十九日に行われた。



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