越前万歳は、正月から三月にかけて、金沢・大聖寺・福井の城下町を廻り、人々に春を告げるめでたく、楽しい芸能であった。古い時代の呪術芸能という面と、流行の浄瑠璃などを取り込んだ新しい面とをあわせもった、村と町をつなぐものであった。今立郡味真野村野大坪(武生市味真野町)に伝えられたものだが、この地に万歳が伝承されてきたことの歴史的背景、またその成立については、現在のところほとんど解明されていない。 以下、簡単に万歳の歴史をみることによって、越前万歳の成立に思いをはせることとする。