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 第五章 宗教と文化
   第一節 越前・若狭の寺社
    四 越前・若狭の寺社
      坂井郡の寺院
 坂井郡には真宗西派・東派の寺院が多いが、郡北部には真宗高田派の連枝格寺院の加戸本流院など高田派の有力寺院も多く、越前の同派の地盤となっている。また西派藤島超勝寺や和田本覚寺などの末寺も若干あったが、真宗系の諸寺は東西本願寺あるいは伊勢高田専修寺の直末寺が比較的多く、本寺―直末寺の単一な本末関係が一般的であった。
 三国の滝谷寺と性海寺は新義真言宗の典型的な中本山寺院であり、とくに滝谷寺は足羽郡以北から加賀にかけての真言宗寺院の多くを末寺としていた(滝谷寺文書、『加越能寺社由来』)。また曹洞宗竜沢寺は近世初期には越前に坂井郡の中番竜雲寺など末寺八か寺を有し、加えて尾張・三河・遠江・越後に数多くの末寺・孫末寺を有していた(龍澤寺文書 資4)。例えば、越後の耕雲寺は同国最初の曹洞宗寺院であり末寺孫末寺八〇〇以上を数えた大寺であるが、竜沢寺開山梅山聞本を師とする傑堂能勝の開創にかかるため、法流師資関係から同寺は竜沢寺末であった。

表125 文化(1804〜18)頃の宗派別寺院数

表125  文化(1804〜18)頃の宗派別寺院数
  注) (  )は塔頭・寺中など,天台修・真言修の修は修験を示す.『越前国名蹟考』により作成.



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