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 第四章 都市と交通の発達
   第二節 湊町敦賀と小浜
     三 敦賀商人の活躍
      敦賀の有力商人
 表118は元禄五年の「敦賀湊長者番付」(那須伸一郎家文書 資8)にみえる商人の職業を「遠目鏡」の中から拾って作成したものである。年代的に一〇年ほどの隔たりがあり、商人の入れ替りも激しかったためか、「遠目鏡」で職種のわかる商人は限られているが、当時の敦賀で有力であった商人がどのような商売を営んでいたかがわかる。比較的多い職種としては、酒屋、船持、茶問屋、利銀指・質屋などの金融業、銅問屋、四十物売買問屋、煙草売問屋などがあり、その他に紅花青苧問屋、鉄売問屋、松前物問屋などがある。また、「遠目鏡」には記載されていないが、大関最里六右衛門・天屋弥三右衛門は茶問屋、前頭の備前屋三郎兵衛は酒屋でもあった。これらの商売を行いながら、同時に蔵宿を勤めたり諸国商人宿を営んでいる商人もかなりみられる。敦賀の有力商人たちの多くが、湊に深いかかわりをもつ商いを営み、湊を舞台とする取引きなどで多くの富を築いていたことが知られる。

表118 元禄5年(1692)商人の職種

表118 元禄5年(1692)商人の職種
注) 「敦賀湊長者番付」(那須伸一郎 資8),「遠目鏡」により作成.



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