ここでは「寛文雑記」を主たる拠り所に、敦賀を中心に中継商業の状況を概観してみることにする。「寛文雑記」によるものは以下とくに出典を示さない。
諸国から敦賀に入津した荷物の書上(表108)によれば、上方の主要な消費物資であった米・大豆などの穀物類、灯油の原料である油草の類は、ほとんどの国から登せられており、その他各地の特産品として、北国からの絹・四十物・鉛、秋田・津軽など奥羽からの材木、松前の昆布をはじめとする種々の海産物、山陰の鉄、さらに地域的な産物として越前の奉書紙、最上の紅花・青苧などがある。これらの産物に共通していえることは、越前の奉書紙などのほかは、ほとんどが食料や原料などの未加工品であるということである。北国などから敦賀・小浜に荷揚げされた荷物の大部分は、京・大坂で消費・加工される産物であった。
表108 敦賀の入津品
注) 「寛文雑記」により作成.