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 第四章 都市と交通の発達
   第一節 城下町とその構成
    四 城下町の生活
      商家の休日
 商家の休日について記されたものに、大野七間町の布川家の天明七年(一七八七)の「年中行事」(布川源兵衛家文書)がある。
 正月は、元旦に清滝社へ参詣し、三が日の朝食は雑煮、夕食は煮物であり、四日より平常に戻っている。六日に年越の夕飯を祝い、七日は「遊び」(休日)、九日は山祭で夕飯に祝をした。十四日も年越の夕飯を祝い、十五日は遊び、二十日は初恵比須講が行われた。二月七日は清滝祭で遊び、彼岸には春秋とも男女が寺に参った。三月の節句は遊び、男女とも五日ずつ休んだ。四月八日頃に山王祭があり、この日は遊び、五月の節句も遊び、二十八日は御堂講の当番に当たっており来客があった。
 六月朔日、七月七日、八月朔日は遊びであった。九月の節句も遊び、三月と同じく男女とも五日ずつ休んだ。報恩講も九月に行われた。十月には恵比須講と神迎え、御堂報恩講があった。十一月には惣報恩講が行われ、九日は山祭で夕飯に祝をした。十二月は煤払いに人を雇い、節分年越には夕飯に祝をした。餅は二斗つき、鏡餅一重を寺へ歳暮として届けた。これによれば、三月と九月の節句にまとまった休みをとり、清滝社や山王社の祭礼も休日で使用人ともども祭を楽しんだようにみえる。
写真135 大野山王社(「大野町絵図」)

写真135 大野山王社(「大野町絵図」)



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