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 第三章 近世の村と浦
   第二節 平野の村々
    五 日々の生活
      村々の諸改と村明細帳
 幕府や諸藩は村況を知るため、様々な調査を行っている。キリシタン宗門の取締りのため、幕府や諸藩は村ごとに宗門人別帳を作らせたが、その他、宗門改には直接関係ない人別改帳や五人組帳、夫役負担者である男子のみを抽出したり牛馬を調査した上下人夫牛馬員数改帳、職業・鉄砲・捨子などの改帳、鷹狩を行う時の犬猫改帳などがそれぞれの目的に応じて作られている。
 このうち、福井藩や幕府領福井藩預所などで作られた高持雑家人馬改帳には、一軒ごとの持高と田畑の内訳、家・角屋・蔵・小屋などそれぞれの縦横間数、家族・奉公人の名と年令、山・薮・牛馬・舟などの所持数、五年分の年貢率や諸役などが記載されており、一軒ごとの状況がよくわかるものである。
 また、幕府領では代官の交替の時期などに村差出明細帳が作られた。これらのうち、元禄八年(一六九五)や宝暦十年(一七六〇)、同十一年のものは、とりわけ詳細に記されており、等級別田畑・戸数・人口・牛馬・寺社・高札場・寄進地・諸商売のほか、作付している稲の品種や畑・山の作物、播種・刈入時期、田畑の肥やし、農間余業、一反当たりの質入直段・小作料、奉公人の給金、入替りの時期などがこまごまと記載されており、村況が具体的によくうかがえる。諸藩でも、享保五年(一七二〇)の鯖江藩成立直後、元禄十一年の郡上藩金森頼錦の藩主交替期、文政元年(一八一八)の福井藩二万石加増のおり、村明細帳の作成を命じている。



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