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 第三章 近世の村と浦
   第二節 平野の村々
     三 越前の割地
      八か条の通達
 寛文八年に組頭宛に出された八か条からなる通達があり(堀田五左衛門家文書 資6)、その内容は次のようになっている。
(1)それぞれの村の卸米の額を調べたうえで、田地を改め、石高を算出すること。
(2)田畑の打出し分、不足分を書き出すこと。
(3)すでにわかっている打出し分についても、測量し石高を算出すること。
(4)今度の打出し分の田地はすべて改め、石盛を書き出すこと。細かく分けてその村中の百姓に等分に分けるのであるから少しも隠してはならない。
(5)今年の一作分を売り渡している田地は、買主がその村の年貢率に従って上納すること。来年からは、田地の一作分を売り渡すことを禁ずる。また、以前に買い取った田地は元の持主に返し、借米は無利息とし、来年から五年間で年賦返済とする。また、買主にそのまま作らせたい時は、五年間作らせたあと元の持主に返させる。
(6)村々の年貢率が決まったなら、庄屋はその村の小百姓の所持地に対して公平に年貢の割当てを行うべきである。
(7)今年の年貢納入の締切は十一月晦日とする。その時までに納入できない百姓は潰す。
(8)年貢納入前に米を他に渡すことを禁ずる。
以上であり、(1)から(4)は打出し分の報告など内検地に当たっての厳守事項、(5)(6)は田地喪失者を救済し、本百姓を維持するためのものであり、(7)(8)は期限内の年貢納入の厳守を命じたものである。
 このなかには、具体的な割地に関する記載はないが、この内検地が割地につながるものであることは明白であり、割地が年貢を完納できる本百姓維持の施策として行われたことを示すものである。
写真96 割地について納所方の定書

写真96 割地について納所方の定書



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