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 第三章 近世の村と浦
   第二節 平野の村々
     二 年貢と諸役
      年貢納入の方法
 その年の年貢額が決まると、庄屋はこれを村人に割り当て、これを取り集め、城下や江戸・大坂に廻送するため湊などに置かれている幕府や諸藩の蔵に納入した。
 運送については五里以内は農民の負担で、それ以上については領主より給付がなされた。米の輸送には川舟なども多く利用されたが、田地が少なく交通の不便な山間や海浜の村々などでは、金銀で代納していた所も多かった。
 年貢は年内皆済が原則であり、大半は米がとれる秋の土用過ぎから冬にかけて納めた。畑作物である大豆・綿・麻などを現物または金銀で夏納める夏成や、夫米や小物成である山手米などは夏・秋の二期に分納させることもあった。また、財政に行き詰まっての解決策の一つとして、先納と称して規定の納入時期以前に年貢徴収を行うこともあった。
写真95 大谷浦年貢皆済状

写真95 大谷浦年貢皆済状




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