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 第三章 近世の村と浦
   第二節 平野の村々
     二 年貢と諸役
      年貢割付状と皆済目録
 幕府や諸藩が決定した一村ごとの年貢を各村に通達する文書が年貢割付状(免状とも称した)である。村から年貢の明細を書き完納を報告するのが年貢勘定目録、幕府・諸藩より各村に与える年貢の請取書が年貢皆済目録である。勘定目録と皆済目録の記載内容はほぼ同じであり、勘定目録に代官などの裏判を押して皆済目録に代えることも行われた。
 福井藩の場合、初期のものは、年貢割付状・年貢請取状ともに記載内容が簡潔であり、請取状については、本年貢と小物成が別紙に書かれているものが多い。これに対して中期以降の年貢割付状はきわめて簡潔になり、小さな紙片に免とその年の下行米を書き、代官が署名捺印しただけのものとなる。しかしこれに代って、本年貢・小物成の内訳およびその納入方法をかなり詳細に記した物成銀米納方一紙目録と、年貢請取状に代る物成納方本通や物成納方仮通が用いられるようになる。
 小浜藩では家老・勘定奉行・町奉行等が連署し、村高・引高・取米を記す年貢割付状と、取米・口米・小物成の額と納入方法を記した勘定目録などが用いられていた。
 こうして、一村単位で割当てがなされ、完納が義務付けられていた年貢・小物成などの多くは、百姓の持高に応じて賦課された。そのさいに各人の割付を書き記した帳面や、庄屋が出す一軒ごとの割付状・年貢納入の通なども各地に残っている。



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