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 第三章 近世の村と浦
   第二節 平野の村々
     二 年貢と諸役
      年貢の内訳
 年貢は村高に対してかけられる本途物成を基本とし、そのほかに糠・藁(代)や山手米・萱野役・網役など山野・河海の産物に課される小物成、幕府領の伝馬宿入用・浅草蔵前入用・六尺給米や、福井藩の雪垣銀・川除銀・道銀・鷹餌代など村高に応じて付加される高掛物、労働を提供する夫役(代納する場合は夫銀・夫米)、川舟・水車の所持や、魚商・室屋・紺屋・鍛冶・桶屋・大工などの諸営業に対して課される諸運上冥加などがある。そのほか代官の年貢徴収の諸経費に充てられた口米・口銀(永)が定率で賦課されたりもしている。
 これらの多くは米と金銀等の貨幣で納められたが、米以外の現物や労働で支払われることもあった。納入の時期も夏と秋に分けられていたり、時には定められた時期より前に納めさせたり、延納を許す規定もあり、これら年貢の種類や取立て方は幕府・諸藩においてかなり違いがあった。



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