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 第二章 藩制の成立
   第一節 福井藩と小浜藩の成立
    二 福井藩の成立
      結城晴朝
 秀康とともに北庄に来た晴朝は、丹生郡片糟を居に五〇〇〇石の隠居料を与えられて平安に過ごしていた。しかし、「宰相相変わらず孝儀増進」と秀康の孝養に満足しながらも、「結城の事思い出し候、帰城頻に胸を痛め候」といっているように、懐い出すのは結城のことであった。晴朝は、結城帰城のことを願文や書状に盛んにしたためているのである(『結城市史』)。鎌倉以来関東に盤踞してきた名門の後裔にとって、越前移住が余程の痛恨事だったことがうかがわれて興味深く思われる。慶長十九年八一歳で死去し、孫の直基がいったん跡を継いだ。



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