概 要
福井県文書館では、越前松平家の家臣団約3,000家のうち中・上層の約900家(士分以上)の人事記録(「士族」「剥札」松平文庫(県立図書館保管))を資料集(資料叢書)として刊行します。平成24年度はこれらの家臣のうち「あ~え」を、平成25年度には「お~く」を発刊しました。今後さらに全6巻にわたる刊行を予定しています。
「剥札」に掲載された藩士は江戸時代中ごろ以降死去や隠居などによって代替わりした各家の当主で、これに対して「士族」には現役当主の履歴が1873年(明治6)ごろまで書き継がれています。資料集では、利便性を考えて、掲載家を50音順に組み替えました。
内容は、各家の禄高の増減、家格の変化のみならず、職務内容や転役、江戸や京都など藩外への出張とその職務、改名、褒賞など詳細にわたっています。これらは一般の利用者からもっとも問い合わせの多いルーツ調べに役立つのはもちろんですが、福井藩における幕末の諸改革の展開、殖産政策や人材登用の変容、他藩との交流など、また維新後の近代日本を支えた人材創出の詳細をあきらかにするうえでも活用されることが期待されます。