現在の福井県は、石川・富山両県と同じく真宗系諸寺院が大多数を占めている。そのなかで特に越前の真宗教団史を概観すると、真宗諸派に属する専照寺・証誠寺・誠照寺・毫摂寺の四本山が現存し、伊勢とならぶ高田派の数少ない基盤でもあり、また古くから本願寺一族(一家衆)が繁出し、多数を占める本願寺派・大谷派は朝倉氏・織田氏と抗争し激しい弾圧をこうむっている。以下、真宗系各派が歩んだ戦国期までの軌跡をみていきたい。