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 第四章 高度産業社会への胎動
   第一節 県政と行財政整備
    二 財政危機と中央依存行財政の確立
      市町村の財政再建
 地財法適用団体として一九五六年(昭和三一)一二月に最初に承認された県内の市町村は、武生市(再建完了予定年度六一年度)・勝山市(同六一年度)・鯖江市(同六五年度)・松岡町(同六二年度)・川西村(同六三年度)・朝日町(同六二年度)・越前町(同六三年度)・清水町(同六三年度)・高浜町(同六一年度)・大飯町(同六二年度)の一〇市町村であった。いずれも住民税・固定資産税の税率の引上げや都市計画税の増設、徴収歩合の引上げなどによる税収増と、職員の減員計画を組み込んだ財政計画を作り、財政再建に取り組んだ。また、財政再建債の当初発行額はあわせて三億三五五〇万円で、うち政府引受が一億一九五〇万円、残りは公募債として地元銀行により引き受けられた。いずれも当初の二、三年ほどは財政規模が抑制されたが、五九年以降の好景気による税収の伸びと国庫補助額の急増により、多くの再建団体で財政は好転し、計画完了年度を早める町村も多く、六二年度には鯖江市をのぞくすべての自治体で再建が完了した。
 また、地財法の適用をうけずに自力再建をめざす自治体もあった。こうした自治体も財政再建計画を立て、自治庁の確認を得ることになるが、五七年三月には、大野市(再建完了予定年度六〇年度)・丸岡町(同六〇年度)・今立町(同六三年度)・南条村(同六〇年度)・今庄町(同五八年度)・名田庄村(同五七年度)の六市町村の自主再建計画の確認があった。これらも大半が予定年度よりも早く再建の完了をみた(自治庁『地方財政再建の状況』)。
 他方、いわゆる準用団体としてあらたに国の融資あっせんをうけることになった自治体もあった。芦原町と金津町である(いずれも五九年一一月に承認)。前者は五六年四月の大火以来、自主再建に努力を払ってきたが、五八年三月にいったん自主再建団体としての確認を得た後、五九年度から準用団体に転じている。また、後者は合併後、新町建設事業や吉崎温泉開発事業などで大きな赤字を抱え込んだため、準用団体の指定をうけることになった(『福井新聞』59・10・8)。



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