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 福井県史の編さんには、県民の皆様から多大の御協力をいただきながら進めてまいりましたが、このたび『福井県史 通史編5 近現代一』を発刊することとなりました。
 本巻は、通史編の近現代二巻のうちの第一巻目にあたり、明治・大正期の福井県の歩みを叙述しています。明治新政府は、「富国強兵」「殖産興業」の方針のもと、強力な近代化政策を推し進めました。このなかで、明治四年に廃藩置県が行われ、十四年には現在の福井県域がほぼ確定します。
 本巻が対象とする時期は、こうして誕生した福井県が、県としての内実を形づくる過程であり、また日清・日露戦争から第一次世界大戦へと、社会全体が大きく前近代から近代へ組替えられていく激動の時代でもありました。この通史編を通じて、幾多の困難を克服しながら近代に生きたふるさとの先人の歩みをたどることが、ふるさとの未来に思いをはせる一助となることを願っています。
 また社会・経済環境が大きく変化するなかで、福井県でも貴重な歴史資料が、散逸しつつあります。こうした先人の歩みが記された歴史資料を保有し、文化遺産として次世代へ継承していくことは、私たちに課せられた大切な使命のひとつであると考えます。
 発刊にあたり、監修者の小葉田淳先生をはじめ執筆・編集にあたられた皆様、さらに資料の提供に御協力いただいた皆様に対しまして、厚く御礼を申し上げます。
  平成六年十一月
    福井県知事 栗田幸雄



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