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 福井県史の編さんにつきましては、県民の皆様から多大の御協力をいただきながら進めてまいりましたが、資料編全一七巻一九冊に続き、通史編全六巻の最初の巻として『福井県史 通史編1 原始・古代』を発刊する運びとなりました。
 本巻は通史全巻の序説と、序章およぴ本編七章から構成されています。その本編には、原始社会から十二世紀すなわち平安時代の末ごろまでの本県が歩んできた豊かな歴史が、考古学や文献史学の最新の成果を取り入れながら平易に叙述されています。たとえば、縄文時代以来の海の道・山の道を通じた国内の他地域や海外との結びつき、本県になじみの深い継体天皇や泰澄大師をめぐる諸問題、条里制や東大寺の初期荘園など、古代の若狭・越前の政治・社会や文化の特質が浮き彫りにされています。
 これらを通じて、先人が築きあげてきた郷土の姿や生き生きとした古代の人びとの生活を親しみ深く読みとることができます。本巻の成果が、県民の共有財産として学校教育や生涯学習の場で大いに生かされ、二十一世紀に向けての指針になるとともに、住みよいふさと創生の一助となれば幸いです。
 発刊にあたり、監修者の小葉田淳先生をはじめ執筆・編集にあたられた諸先生や資料提供等で御協力をいただいた諸機関と関係者の皆様に対して、心から感謝申し上げます。
  平成五年三月
    福井県知事 栗田幸雄



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