福井県ふるさと文学館開館5周年記念 文学の食卓展


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開催概要


<開催期間>
2020年1月25日(土)~2020年3月22日(日)

<会 場>
福井県ふるさと文学館

<内 容>
2015年2月1日に福井県ふるさと文学館が誕生して、5周年を迎えました。
これを記念して「食」をテーマにした企画展を開催します。
本展では、文学作品の中の食に焦点を当て、食にまつわる文学作品、
そして福井ゆかりの作家たちが描いた食とその作品について紹介しました。

<関連イベント>
◆文学カフェ 3/8(日)14:00~15:30
『作家のごちそう帖』の著者、大本泉氏(仙台白百合女子大学教授)に
文豪たちと食の関わりをお話しいただきます。

→新型コロナウィルスの感染拡大防止の観点から、開催を延期させていただきます。
開催日時が決まり次第、HPやチラシでお知らせします。


◆文学キネマ 13:30~(12時より文学館カウンターで整理券を配布します)
①「武士の献立」(2013年) 監督:朝原雄三 出演:上戸彩、高良健吾 2/22(土)
②「かもめ食堂」(2006年) 監督:荻上直子 出演:小林聡美、片桐はいり 3/15(日)
→新型コロナウィルスの感染拡大防止の観点から、開催を中止させていただきます。

<関連ファイル>
文学の食卓展チラシ(pdf 1,703kb)
文学の食卓展資料一覧(pdf 212kb)


第一章 文豪たちが描いた食



 第一章では、3人の作家を中心に近代の文学作品に登場する食や、作家たちと食の関わりを紹介しました。

食卓展入り口


                                  
 明治時代になり、海外の文化が流入して日本の食が多様化すると、文学作品にも多くの料理や食べ物が描かれるようになっていきました。
1863(文久3)年、三河国豊橋(現・愛知県豊橋市)に生まれた村井弦斎は、父の先進的な教育を受けて国内外の学問を修め、ジャーナリズムの世界に入ります。新聞小説を連載していた弦斎は、様々な分野において正しい知識や教訓を盛り込んだ小説「百道楽」シリーズを構想しました。その第4弾として1903(明治36)年の1年間、「食道楽」を報知新聞に連載しました。東洋、西洋を問わず、様々な食材や料理法について詳細に書かれたこの作品は、小説としてだけではなく実用書として多くの人々に読まれ、ベストセラーとなりました。


村井弦斎コーナー
村井弦斎コーナー

織田作之助コーナー
織田作之助コーナー

 1913(大正2)年、大阪市南区(現・天王寺区)に生まれた織田作之助は、戯曲作家から小説家への転身を考えた際、題材を自分が育った大阪にしようと思い立ちます。そして1940(昭和15)年、放蕩三昧の柳吉と、柳吉を一人前にしようとする恋人の蝶子を描いた『夫婦善哉』を発表しました。大阪市難波界隈を舞台にしたこの作品には、関東煮、ドテ煮、自身も通った自由軒のカレー、最終場面に二人で食べる夫婦善哉など、大阪庶民の味が数多く描かれています。「東京にいた頃、私はしきりに法善寺横丁の「めをとぜんざい屋」を想った」(「大阪発見」)と語る通り、愛する故郷の食べ物をタイトルにしたこの作品は、改造社第一回文芸推薦作品となり、織田は作家としての地位を確立しました。


開高健コーナー


開高健の愛用品類

 そして1930(昭和5)年、大阪市天王寺区に生まれた開高健は、寿屋(現・サントリー)宣伝課を経て小説家となり、1958年に「裸の王様」で芥川賞を受賞。1968年にはベトナム戦争の現地取材を元にした『輝ける闇』で毎日出版文化賞を受賞するなど、小説、ルポルタージュの分野で活躍した作家です。一方で、世界への旅を通じて様々な食を探究しました。1977年に『プレイボーイ』誌上で連載した釣り紀行「オーパ!」の取材では、ブラジルでピラニアやピラルクを食します。続く1982年の「オーパ、オーパ!!」の取材では、アラスカを訪れ巨大なオヒョウ(カレイの一種)の刺身を豪快に食べています。この時、料理人である谷口博之氏を帯同し、現地で釣った魚を様々な形で調理・賞味しており、各地の食材をいかに美味しく食べるかにこだわった開高の信念がうかがえます。その他にも、日本全国の美食を食べつくす官僚を描いた小説『新しい天体』、世界各地の食を語るエッセイ『最後の晩餐』など国内外の食についてユーモアたっぷりに描いた作品を多く発表。グルメ(美食家)でありグルマン(食いしん坊)でもあった開高健の作品には、食への好奇心と探求心が詰まっています。

 

第二章 福井ゆかりの作家たちが描いた食


 第二章では、福井ゆかりの作家たちが描いた食や、福井の食が描かれた作品を紹介しました。



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高見順、宮下奈都コーナー

 福井県ゆかりの作家たちは福井の食を愛し、その魅力を著作の中で語っています。津村節子はエッセイ「福井県に代って」の中で、故郷の自慢としてコシヒカリを挙げ、福井から新米が送られてくると幸せな気持ちになると綴っています。また福井生まれのミディトマト「越のルビー」も命名しています。

 1907(明治40)年、坂井郡三国町(現・坂井市)に生まれた高見順は、自分が生きた時代と人々を作品に描いた作家です。1939(昭和14)年、当時住んでいた浅草を舞台にした『如何なる星の下に』では、実在するお好み焼き屋をモデルにした「惚太郎」に集まる踊り子や芸人たちの暮らしと人情を生き生きと描きだします。1945年の日記を元にした『敗戦日記』では、銀座の食堂でおかず一皿だけの定食を黙々と食べる人々や、上野駅前で配給の握り飯を食べる人々の様子などを綴り、終戦前後の苦しい食糧事情を克明に書き残しています。またエッセイや日記には、越前がにやバフンウニなど福井の食について書いたものもあり、幼くして去った故郷への想いが込められています。

 福井在住の宮下奈都は、2004(平成16)年に書いた「静かな雨」が文学界新人賞佳作に入選し作家デビュー。2016年には『羊と鋼の森』で直木賞候補、本屋大賞を受賞するなど、現代を代表する作家として活躍する宮下の作品には、食事や食べ物が物語のキーになる作品が多くあります。毎日記憶が無くなってしまう「静かな雨」のこよみは、たいやきを作ることで過去とのつながりを確認します。『誰かが足りない』の主人公たちは、食べ物の記憶や思い出をきっかけにして過去の失敗や後悔から少しずつ立ち直ろうとします。また、エッセイ『とりあえずウミガメノのスープを仕込もう。』では、家族との食事や思い出の食べ物、福井の食材など、日常の食卓の中にある様々な楽しみや驚きを細やかな視点で描いています。

 


かこさとしも、食に関する絵本を多く発表しました




 福井の食材に注目すると、越前がに、鯖のへしこ、おろしそば、水ようかんなど、文学のジャンルを問わず多くの作家たちが福井の料理や食材を取り上げており、これらの作品からは、豊かで魅力的な福井の食文化を知ることができます。

食卓展クイズ実施しました


食卓クイズ

こたえ 

Q1ワッフル Q2ぜんざい Q3びっくりしたとき Q4お好み焼き店 Q5ケーキ

ふくいのおいしいものの缶バッジをプレゼントしました。
文学の食卓


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会場位置MAP

会場_展示室