12/8小松和彦氏文学講座

秋季企画展関連イベントとして、桑原武夫が創設に関わった国際日本文化研究センターや、国文学にも登場する妖怪などの研究について語っていただきます。

文学講座「伝説は民衆の記憶装置である怪異・妖怪伝承を手がかりに」
日 時:平成30年12月8日(土)14:00~15:30
講 師:小松和彦氏(国際日本文化研究センター所長)
会 場:福井県立図書館多目的ホール
定 員:100名(無料・要申込)
小松和彦氏文学講座実施報告
 12月8日(土)に、小松和彦氏の文学講座「伝説は民衆の記憶装置である-怪異・妖怪伝承を手がかりに-」を開催しました。
 講演では最初に、妖怪は大衆文化の四つの伝承母体(口承・書承・芸能・絵画造形)によって伝えられてきたため、妖怪研究は宗教、芸能から建築に至るまで様々な分野の学際的な研究であると述べました。また妖怪を学問的に研究する意義について、日本文化史の中で大きな存在として位置づけられること、日本人の特性が見えてくること、現代文化を創造する資源にできることを挙げました。 続いて、各地に残る大蛇・龍神の伝説の特徴として、舞台となる地域が実際に洪水や山崩れが発生した場所であるという点に触れ、伝説とは後世に災害があったことなどを伝えるものであり、それを理解していれば昨今の災害による犠牲も防げたのではないか、と語りました。
 また、『遠野物語』の解説で本県が誇る先人・桑原武夫が書いた、「古くから伝わることの深い意味を常識で解釈できないからといって捨て去ろうとするのは精神の怠慢である」という主張も紹介しました。
 参加者からは、「妖怪や伝説についてのイメージが変わった」、「地元の伝説にもっと興味を持つべきだと思った」などの声が寄せられ、妖怪研究や伝説が持つメッセージを明らかにすることの大切さを感じていました。         (参加者72名)