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 第四章 高度産業社会への胎動
   第一節 県政と行財政整備
    三 町村合併の促進
      合併をとりまく紛争
 町村合併では、住民が長年の間慣れ親しんできた町村をなくして、周囲の他の市町村と一緒になって、より大きな自治体をつくるという場合が多いが、そこには住民にとっての心理的な抵抗もあり、地域ごとの利害もからんで、さまざまな問題が生じた。坂井地方事務所が、一九五二年(昭和二七)七月に郡内で実施した町村合併に関する世論調査では、合併に賛成する理由としては、町村財政が強化されて、大きな公共事業を行うことができる、首長や議員などの指導者を、広い範囲から選ぶことができるなどがあげられた。その一方で、反対する理由としては、町村の区域が広くなることで住民の一体感が薄れることや、役場や学校が遠くなることで不便になることなどがあげられた(『福井新聞』52・7・21)。また、合併そのものにはその必要性を感じても、具体的にどの市町村と合併するかということになると、住民の意志の統一が困難になるという場合も多かった。全国でも合併にともなう紛争が各地でおこった。つぎに、福井県でのおもな紛争をみていくことにする。



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